諫干訴訟 非開門の和解協議継続を 3県漁業団体、初の統一見解

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門訴訟を巡り、有明海沿岸の福岡、佐賀、熊本3県の漁業団体は1日、開門しない代わりに国の漁業振興基金案での解決を勧告した福岡高裁の和解協議の継続を求める初の統一見解を発表した。3団体の代表らが8日、斎藤健農林水産相に文書で提出する予定。
 福岡県柳川市で佐賀県有明海漁協の徳永重昭組合長、福岡有明海漁連の西田晴征会長、熊本県漁連の上田浩次会長が共同会見し、明らかにした。統一見解は国の基金案とともに、▽(国の)有明海再生事業の継続▽(調整池の)こまめな排水の確実な実施とマニュアル化▽基金と別枠での排水ポンプの増設-の3項目も和解協議で取り上げ、実現を求めた。
 一方、統一見解では、福岡高裁が示した和解の実現を強く期待するとした上で、開門調査を含め、有明海の環境変化の原因を究明する必要性も指摘。徳永組合長は会見で「排水などの影響があり、有明海再生には(調査が)必要」と述べた。
 3県漁業団体がそろって、「非開門の基金案」を事実上容認したのは、開門調査の実現性が乏しい中、総額100億円の漁業振興基金案での有明海再生策を急ぐ狙いがある。同高裁が3月に示した和解勧告を開門派は拒否。同高裁は4月、和解協議の継続を決めたが、開門派は次回5月8日の協議も欠席する意向で、和解成立は困難な情勢だ。和解が成立しない場合、7月30日に判決が言い渡される。

和解協議継続を求める統一見解について説明する(左から)上田会長、徳永組合長、西田会長=福岡県柳川市、福岡県有明海水産会館

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