高炉3社の17年度設備投資、7%増の7977億円 コークス炉更新、連鋳機新設など国内拠点の基盤整備進む

 新日鉄住金、JFEホールディングス、神戸製鋼所の高炉3社の2017年度の設備投資額(連結、工事ベース)が出そろった。3社の合計額は16年度比6・9%増の7977億円と2年連続で増加し、直近ピークの08年度(8666億円)と比べ9割強の水準に回復した。各社とも重点的に進めるコークス炉の更新など国内生産拠点の設備基盤固めが投資額に表れた形だ。

 17年度の設備投資額は新日鉄住金が4119億円(16年度比17・4%増)、JFEが2572億円(同9・6%増)、神戸製鋼が1286億円(同19・7%減)だった。

 新日鉄住金は4年連続で前年度を上回った。12年度(4200億円)以来5年ぶりの4千億円台となる。新日鉄住金の投資額には昨年3月に連結子会社化した日新製鋼の設備投資額(361億円)も含まれる。

 JFEは2年連続で前年度を上回った。2500億円を超えるのは08年度(2895億円)以来9年ぶり。全体のうちJFEスチールは連結ベースで2388億円(単独1992億円)だった。

 各社が設備投資を積極化するのは国内拠点の基盤整備が重点課題となっているため。特に製銑工程のコークス炉と焼結機、製鋼工程の連続鋳造機に関連する大型投資が目立つ。

 コークス炉の老朽化対策では新日鉄住金が室蘭製鉄所(北海道室蘭市)と鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)、君津製鉄所(千葉県君津市)で、JFEが東日本製鉄所千葉地区(千葉市)、西日本製鉄所福山地区(広島県福山市)でそれぞれ増設や更新を実行中だ。JFEはコークス炉の老朽化対策にめどが付いてきたことから焼結機の能力増強にも乗り出した。約400億円を投じ福山地区の第3焼結機を更新中で、19年度の稼働を目指す。

 製鋼工程では新日鉄住金が八幡製鉄所の戸畑地区(北九州市)で第3連鋳機の新設を進めている。コスト競争力の強化に向け同所の戸畑、小倉両地区にある高炉、製鋼工程を20年度末までに戸畑に一本化する計画の一環。軌条(レール)や棒鋼・線材の半製品となるブルームを製造する最新鋭連鋳機で、約380億円を投じ18年度下期の完成を目指す。

 JFEは西日本製鉄所倉敷地区(岡山県倉敷市)に連鋳機を1基増設する。投資額は約400億円で20年度下期の稼働を目指す。同地区の生産ネックとなるスラブの生産能力を高め、自動車鋼板など高級鋼の増産余力を確保する。

 神戸製鋼は17年10月末に神戸製鉄所(神戸市)の上工程を休止し、加古川製鉄所(兵庫県加古川市)に集約する計画を実行に移した。この計画の一環で進めていた総額655億円の設備投資のうち、昨年度は加古川に建設していた2基目の脱りん炉が稼働した。

 18年度も高水準の設備投資が続く見通し。新日鉄住金とJFEスチールは、それぞれ今年度から3カ年の中期経営計画で前の3カ年より設備投資を上積みするとしており、国内製造基盤の強化をさらに進める。

 新日鉄住金と神戸製鋼はそれぞれ、自動車用超ハイテンの生産体制強化に向けて20年度までに新ラインを建設する計画を打ち出しており、今後は上工程に加え下工程でも大型投資が進むことになる。

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