神奈川・松田の茶業振興へ民間とタッグ 今夏から農家体験募集

 担い手不足などにより事業継続が課題となっている神奈川県松田町の寄地区での茶業を振興しようと、同町と人材派遣業「セントメディア」(東京都新宿区)が、包括連携協定を結んだ。同地区での茶農家体験プログラムの参加者を今夏から募集。同町は「単なる体験にとどまらず、生業(なりわい)としてやりたい人を集め、農業を復活させたい」と意気込んでいる。

 同町などによると、プログラムでは、茶の摘み取りのほか、肥料をまいたり雑草を刈ったりといった茶農家の一連の作業を体験。地元農家との交流などを通じて、収入といった就農に向けた具体的な話も聞く機会を設ける。日程は今後詰める予定で、ことし6月ごろに、同社のサイト上で募集を始める。

 協定締結の橋渡し役を務めたのは、藤沢市にある製茶業「茶来未(ちゃくみ)」。同地区で2年前に茶畑約7千平方メートルを借り、農業に参入したが「高齢化など問題が山積していた」という。打開策と同時にサービスの充実策として職業体験の場をつくろうと、セントメディアと同町に働き掛けた。

 同町観光経済課によると、同地区での生産量のピークは記録に残っている中では1982、83年ごろ。約33ヘクタールの畑で約46・1トンの茶葉を生産していた。昨年は約28ヘクタールの畑で、生産量は約5200キロ。農家の高齢化や人口減などにより、基幹産業である茶業の継続が危ぶまれている。

 4月にあった締結式で、本山博幸町長は「人口減を食い止め、県西全体を盛り上げていければ」と期待。セントメディアのトライアルオファー事業部の松井秀樹部長は「松田にたくさんある遊休資産をPRしていきたい」と抱負を述べた。また茶来未の佐々木健社長は「中山間地の再生につなげ、茶業の未来をつないでいきたい」と意気込んでいた。

包括連携協定に調印した松田町の本山博幸町長(左)と「セントメディア」トライアルオファー事業部の松井秀樹部長(中央)、「茶来未」佐々木健社長 =4月26日、町役場

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