楽天、岸が2年ぶり完封も「どうでもいいんです」 清宮に見せ付けた12年目の貫禄

楽天・岸【写真:荒川祐史】

第1打席でフェンス直撃の二塁打を浴び「ものすごい打球が飛んで行った」

 可能性を見せつけたルーキーに、プロの経験値で対峙した。楽天・岸投手が9回無失点で今季2勝目。昨年に楽天に移籍してからは初完封を挙げ、チームの連敗を7で止めた。

 怪物新人・清宮幸太郎のデビュー戦、初対戦でその才能に驚かされた。2回2死、カウント1-1からの3球目、145キロの直球をはじき返された。「ものすごい打球が飛んで行ったので、次からは気を付けようと投げました」。中越え二塁打。あわや本塁打かというフェンス直撃の一打に、百戦錬磨の右腕もヒヤリとしたようだ。

 気を付ける、という言葉通り、2打席、3打席目は岸の貫録勝ち。特に有効だったのがチェンジアップ。第2打席は変化球主体、第3打席は直球主体でカウントを稼ぎ、最後は両打席ともチェンジアップで空を切らせた。

 7回2死三塁、一打同点の場面で、動じることなく空振り三振で料理。空振り後、思わず膝をついて苦笑いの黄金ルーキーを前に、悠然とベンチへ引き上げた。結局、岸は9回途中まで長打はこの1本のみ。9回2死一、二塁のピンチは招いたものの、最後は大田を中飛に仕留めて勝利を導いた。

4月30日には試合後にコーチの配置転換が行われた

 昨年のAクラスチームが、開幕から直面した大不振。全員が20本塁打以上という、破壊力抜群の外国人トリオは影を潜め、鉄壁だったはずの中継ぎ陣も崩壊した。7連敗で借金13となった4月30日の試合後、高須打撃コーチ、立石内野守備走塁コーチが2軍に降格。栗原2軍打撃コーチ、真喜志育成コーチが昇格するという、配置転換が行われた。

 再出発の5月初戦。悪い流れを止めたのは、やはりダブルエースの一角、岸だった。「ホッとしました。連敗中。色々あって。勝てたことがうれしいです」。自身は2016年、4月以来の完封勝利となったが「どうでもいいんです。チームがこういう状況の中、こういう投球ができたのが良かった」と、とにかく淡々と勝利を喜んだ。

 連敗は止まったものの、5位のオリックスともまだ4.5ゲームの差がある状況。「とりあえずもう、勝つしかないので、連敗ではなく連勝できるよう、やっていきたい」と右腕。集中力を切らさず、巻き返しのきっかけにしたい。

(Full-Count編集部)

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