居場所づくりに役割移行 子ども食堂 開始1年 横浜市青葉区

 青葉区内4カ所で、温かいおにぎりと具だくさんのみそ汁を週に2度提供している「あおば子ども食堂」。開始から1年が経ち、延べ2000人近くが利用するなど知名度も上がってきた。その一方で、当初意図していた貧困対策から居場所づくりへと目的も変わりつつある。

 子ども食堂はボランティアの実行委員会が区社会福祉協議会などからの助成金や一般からの寄付を受けて2017年4月にスタート。美しが丘、さつきが丘、もえぎ野の3地域ケアプラザと福祉保健活動拠点の「ふれあい青葉」の計4カ所で、毎週日曜日の昼と水曜日の夜に休みなく開催している。昨年度は全99回で、延べ1932人が利用。1年が経ち、利用者も増加傾向で、知名度も向上してきている。

利用想定に変化

 子ども食堂は、厚労省の国民生活基礎調査で「子どもの貧困率」が6人に1人程度と過去最高を更新したことを受け、「おなかを空かせている子ども」をケアするために始まった。そのため、おにぎり2個とみそ汁を100円で提供するなど低料金で週2回の定期開催を続けてきた。

 1年が経過し、実行委員会は「本当に食事が必要な子どもがいないわけではなかった」と話す一方で、食事後に塾へ行ったり、携帯ゲーム機やスマートフォンに興じる子どもなど、一般家庭と思われる子どもの利用も多いのが実態だ。当初の利用想定からは異なるが、実行委員会は「子ども食堂に来るのは何か理由がある」と現状を受け入れ、居場所としても機能する運営に切り替えつつある。

 実行委員会の三村徳子代表は「おなかを空かせている子どもはもちろんだが、貧困以外でもさまざまな問題を抱えている子どももいる。また、保護者が夜遅くまで働いているなど、孤食の子どもも多く、まずは居場所として使ってもらえれば」と話す。その上で「本当に困っている子どもがいれば、手を引いて連れてきてほしい。今までと変わらずに待っています」と呼びかけている。

他団体と協力も

 居場所づくりとして新たに考えているのが、食事後に子どもが参加できるコーナーの企画だ。比較的利用人数が多い、美しが丘とさつきが丘の地域ケアプラザで本の読み聞かせや書評、昔遊びなど他の活動団体と合同で5月から実施していくという。子ども食堂の認知度を高め、利用者を増やすことで、本当に支援が必要な子どもが来やすい環境を作っていく。

 子ども食堂は、日曜の正午から3時半まで、水曜5時から7時半までの毎週開催。申込不要で、利用希望者は直接各会場へ。費用は子ども100円、大人200円。また、実行委員会は、運営に際して寄付や米など食料の寄贈も呼び掛けている。

 事業内容や寄付などの詳細は実行委員会【電話】045・972・7018へ。

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