スーパーGT:ARTA BMW高木真一、得意の富士でGT300最多タイとなる通算13度目のポール獲得

 2018年スーパーGT第2戦が、ゴールデンウイーク後半戦初日の5月3日に富士スピードウェイで開催され、午前の公式練習が濃霧で中止となった影響でスケジュールが変則的になるなか、スーパーGT300クラスはARTA BMW M6 GT3の高木真一がぶっつけ本番のアタックを制してポールポジション。自身通算13度目のポールポジションを獲得した。

 富士スピードウェイのある静岡県小山町近郊は、前日搬入日から日本全国を襲った“メイストーム”の影響を受け、夕刻~翌早朝にかけてはまとまった雨量を観測した。夜が明けてからは霧雨に変わったものの、サーキットには湿度と気温の影響で濃霧が立ち込め、8時40分から予定されていた公式練習がディレイを繰り返した後キャンセルされる事態となった。

 この影響でタイムスケジュールが大きく変更。予選前に30分の公式練習セッションが設けられたほか、各陣営がほぼぶっつけ本番で挑むこととなった公式予選は、ノックアウト方式から計時予選方式に変更されての争いとなった。 

 14時45分に開始された20分間のGT300クラスセッションは、全車一斉計時の一発勝負とあって、コース上でどれだけクリーンな位置を確保できるかが焦点に。

 通常のノックアウト方式のように事前にアタックドライバーを指定する必要もないことから、各陣営が誰にアタックを任せるかという戦略的な判断も重要になるなか、上位勢の多くは30分の公式練習を走ったエース格でスタートという、ある意味で当然の判断が大勢を占めた。

 そんななか、アウトインでJAF-GT勢のUPGARAGE 86 MC小林崇志やHOPPY 86 MCの松井孝充がピットへ。事前に登録した2セットのタイヤのうち、どちらがコンディションにマッチするかのか判断したのか、それともコースコンディションが好転するセッション後半に向けたスクラブか。いずれにせよライバルとは異なる独自の動きをみせている。

 計測周回に入ると、まずはCARGUY ADA NSX GT3が首位に立つも、すぐさまトップタイムを更新したのは開幕戦ポールシッターのマネパ ランボルギーニ GT3。今回は平峰一貴がタイムボードのトップに立った。

 開始5分を経過すると上位勢が軒並み1分37秒台で並んでいったが、シンティアム・アップル・ロータス、加藤寛規がただひとり1分36秒台に突入する1分36秒864をマーク。FIA-GT3と比べて非力なマザーシャシーながら、公式練習でも7番手という好調さを証明するスピードをみせていく。

 それに続くのは、GT3のレクサスRC Fをドライブする大物ルーキー、宮田莉朋。セッション折り返し時点で、見事なアタックを披露し2番手に浮上する。同じ頃、上位勢は2セット目のタイヤに履き替えるべく軒並みピットへと向かうと、2セット目のタイヤで最後のアタックへ。

■高木真一、最後のアタックでトップ奪還。「ここで獲らなきゃと思っていた」

 こうしたチームがアウトラップへ向かうなか、先の公式練習で黙々と連続周回をこなしていた片岡龍也のグッドスマイル 初音ミク AMGが、タイムシート後方で毎周回ベストを更新しながらウォームアップを続けると、残り5分時点で1分36秒850でトップにおどり出る。

 これで2番手後退のシンティアム・アップル・ロータスとの2台だけが36秒台に突入し、残り3分のところでセクター1、セクター2を最速で駆け抜けたSUBARU BRZ R&D SPORTが1分36秒656でタイム更新。LEON CVSTOS AMGが1分36秒780で2番手、ARTA BMW M6 GT3も1分36秒825で3番手に飛び込んでくる。

 その後も公式練習トップタイムの好調さをみせた高木真一は、連続でアタックに入るとセクター1、セクター2でタイムアップを果たし、1分36秒573までタイムを縮めて、初音ミクAMGからトップの座を奪取。最終盤で逆転劇を演じてみせた。

アタックに臨むARTA BMW M6 GT3

 これで高木はGT300通算13度目のポールポジション獲得となり、同じく13度の最多ポール獲得記録を持つ佐々木孝太、加藤寛規に並んでいる。また、チームとしてもポールトゥウィンを飾った2017年第5戦富士以来のポール獲得となった。

「(BMW)M6の特性は富士に合っているし、ここで獲らなきゃとは思っていて。チームもこんな変則的セッションで完璧にクルマを合わせてくれた」と、ベテランらしい落ち着きで振り返った高木。

「最多ポール記録はね、あまりはしゃいでも新田(守男)さんに怒られるし」と控えめなコメントに終始したが、その新田とともに築いたGT300のシリーズ最多勝記録更新に向けても、視界良好の最前列グリッド獲得となった。

 2番手には、高木同様に最速ラップの翌周にもセクター1自己ベストを記録していた井口卓人のSUBARU BRZが続き、3番手に蒲生尚弥のLEON AMG、4番手に初音ミクAMG、5番手にロータスと続き、エンジンパワーで勝るFIA-GT3勢が強さを見せるなか、2台のJAF-GT/マザーシャシーがトップ5に食い込んでみせた。

 なお、セッション終了後、30号車TOYOTA PRIUS apr GT、植毛 GT-R、Hitotsuyama Audi R8 LMSの3台がアタックラップ中、四輪脱輪があったとしてベストタイムが抹消されている。

 110周、500kmの長丁場で争われるスーパーGT第2戦富士の決勝レースは4日(金)の14時40分にスタートする。

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