「南米から“逆輸入”された5人の現役Jリーガー」

多様化が急速に進んでいる世界のサッカー界。

日本でもかつてとは違い、さまざまな事情により国内でプロになれなかった選手が海を越えてプロ契約を結び、評価を高めてからJリーグに加入するというケースも増加している。

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そこで今回は、南米から「逆輸入」の形で日本へ戻ってきた現役Jリーガーを特集しよう。

沼田 圭悟

現在の所属:ツエーゲン金沢(J2)
逆輸入歴:タクアリチンガ(ブラジル)→ガンバ大阪

高校卒業後、プロサッカー選手を目指してブラジルへ。

無名クラブを渡り歩いた後、2011年に元鹿島アントラーズの笠井健太が在籍したサンパウロ州の強豪パウリスタの入団テストに合格するが、怪我のために破談する。しかし、翌年2月にガンバ大阪の練習に参加するとセホーン監督(当時)へのアピールに成功し、夢であったプロへの扉を開けた。

中澤 佑二

現在の所属:横浜F・マリノス(J1)
逆輸入歴:アメリカFC(ブラジル)→ヴェルディ川崎/東京ヴェルディ

日本代表110試合出場、ワールドカップに二度も出場し今なお現役でプレーする中澤も実は「逆輸入」の選手だ。

高校で全くの無名選手だった彼は、ブラジルへ乗り込みトニーニョ・セレーゾが晩年にプレーしたアメリカ・ミネイロのユースチームに所属。過酷な環境の中でハングリー精神を養うと、帰国後、ヴェルディ川崎の練習生として契約を勝ち取った。彼の代名詞となっている“ボンバーヘッド"は当時、少しでも目立つようにと選んだ髪型である。

ちなみにアメリカ・ミネイロでは後にブラジル代表として世界一に輝くジウベルト・シウヴァと同僚で、二人は2006年ワールドカップで再会し、試合後にユニフォーム交換を行った。

そのジウベルト・シウヴァは最近になって日本のテレビ番組に出演し、中澤に対して「45、50歳まで現役を続けてほしい」とエールを送っている。

池元 友樹 

現在の所属:ギラヴァンツ北九州(J3)
逆輸入歴:リーベル・プレート(アルゼンチン)→ニューウェーブ北九州(現在のギラヴァンツ北九州)

名門・東福岡高校を卒業した後アルゼンチンにサッカー留学し、リーベル・プレート4軍にまで昇格して一部で注目された。

トップ昇格は叶わなかったが帰国後、当時九州リーグだった地元のニューウェーブ北九州に加入。FC岐阜、柏レイソルなどを渡り歩いた後、2010年にギラヴァンツと名前を変えたチームに復帰した。

“南米産”らしくとにかくハングリーで駆け引きに優れたストライカーで、北九州では3度も二桁ゴールを記録している。

三浦 知良

現在の所属:横浜FC(J2)
逆輸入歴:サントス(ブラジル)→読売クラブ

最後はご存じ、“キング・カズ”こと三浦知良だ。

まだ日本にプロがなかった1980年代、高校を数カ月で退学してブラジルへ渡ると、「日本人は下手」という偏見が今より遥かに強い中で屈辱に耐え、1986年にペレを輩出した名門サントスとプロ契約を結んだ。

その後、複数のクラブで修業を積み、キンゼ・デ・ジャウー時代には後にクラブW杯で世界一となるコリンチャンスから得点を記録するなど評価を高めたが、悲願のワールドカップ初出場とJリーグを成功させるという使命を受けて帰国した。

個人として、前者の夢は“まだ”叶えていない。しかし、日本代表はワールドカップの常連となり、Jリーグもゆっくりとだが確実に地位を向上させている。その立役者の一人が51歳の今も現役を続ける彼であることは疑いの余地がないだろう。

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