通帳ケースに詐欺対策啓発文 磯子署が高齢者に配布

 新たな手口として相次ぐ手渡し型の詐欺被害を防ごうと、神奈川県警 磯子署が啓発メッセージを印字したオリジナルの通帳ケースを作成した。被害に遭うその瞬間に注意を呼び掛ける狙いがあり、高齢者らに配布。横浜市磯子区内のイベントで講演した小高藤安署長は「言葉巧みに不安に陥れて信用させる詐欺の手口に気をつけてほしい」と呼び掛けた。

 同署によると、管内の特殊詐欺の被害件数はことし1月から3月末までで19件に上り、前年同期から倍増。うち12件は現金や通帳などの手渡し型詐欺による被害という。

 ケースは通帳やキャッシュカードが入るB6サイズ(縦約15センチ、横約20センチ)で、地元企業から協賛を得て1500個を作成。詐欺グループから電話がかかってきてカードや通帳を取り出す場面を想定し、ケース表面に「キャッシュカードを渡すのは詐欺!」「暗証番号は教えない!」「印鑑は別保管!」などと印字。街頭や、町内会などを通じて高齢者宅に配布している。

 21日開催された「第36回日清オイリオ横浜磯子春祭り」では、小高署長が通帳ケース片手に手渡し型振り込め詐欺対策を伝授。「警察官や銀行協会の職員がカードを受け取りに自宅に訪れたり、暗証番号を聞き出したりすることはあり得ない」と強調し、「手渡し型詐欺は新しい手口。耐性がない人が多いので、新しく作った通帳ケースを活用してほしい」と訴えた。

キャッシュカードなどの手渡し型詐欺について講演する磯子署の小高藤安署長 =横浜市磯子区

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