江戸期の重文内部公開 横浜・三渓園「臨春閣」

 三渓園(横浜市中区)で6日まで、「新緑の古建築公開」が行われている。今年は、江戸時代初期に造られた紀州徳川家の夏の別荘と伝えられ、原三渓により移築された重要文化財「臨春閣」の内部を公開。風情のある建物や室内の美しい工芸品などを多くの人が楽しんでいる。

 臨春閣は数寄屋風書院造りの代表的な建物。内部は狩野派の絵師による障壁画(展示品は複製)や、和歌を書いた色紙をはめ込んだ欄間など、意匠に工夫が凝らされている。

 1917年の移築時に、三渓が室内から三重の塔を見るために建物の配置を変え、自然に溶け込むよう、屋根を瓦から檜皮(ひわだ)ぶきにした。三渓園保勝会は「三渓が移築した建物で最も思い入れが深いもの。より輝くように建て替え、今ここにあることを知ってもらいたい」と話す。

 通常は内部に入ることはできないため、公開は貴重な機会。手の込んだ細工を眺めながら、建物を吹き抜ける爽やかな風を楽しめる。友人と訪れた同市青葉区の女性(76)は「室内のどこからでも庭が見えて、とてもすてきだった」と笑顔だった。

 臨春閣は、年末ごろから約30年ぶりに屋根のふき替えを行う予定。完了まで2年ほどかかるという。

 入園料700円。問い合わせは、三渓園電話045(621)0634。

多くの人が訪れた三渓園の「臨春閣」=横浜市中区

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