マクラーレン時代の自分と今のフェルスタッペンを重ねるペレス「少し我慢を覚えたほうが良い」

 フォース・インディアのセルジオ・ペレスは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンについて「彼が今後ミスを繰り返して大きな損をしないためには、ある程度の我慢強さを身に付けるべきだ」と話している。

 
 ペレスは、その言葉の意味を明確にした上でこの話をしている。ペレスはザウバーで2シーズンを過ごした後、ルイス・ハミルトンの後釜としてマクラーレンに引き抜かれた。彼は当時F1で大いなる期待の星だった。

 しかし移籍した2013年、ペレスはマクラーレンでもがき苦しんだあげく、シーズン終了後チームから放出された。

 ペレスは、Speed Weekの取材に対して「マクラーレンでの1年間はつらかった」と語った。「僕はいら立っていたんだ・・・。我慢ということができずに、あまりにも多くのミスを犯してしまった」

 そう話すペレスは、今シーズンのフェルスタッペンの走りにかつての自分と同じ兆候を見る。フェルスタッペンは、F1第2戦バーレーンGPの予選Q1でクラッシュ。決勝ではルイス・ハミルトンに衝突し、レース直後にハミルトンから“ばか”呼ばわりされた。

 第3戦中国GPではセバスチャン・ベッテルと接触し、さらに第4戦アゼルバイジャンGPではメインストレートでダニエル・リカルドとチームメイト同士でクラッシュして屈辱的なリタイアを喫している。

「最近のレースでのマックスは、単にあせり過ぎているように思う。僕にはそれはよく理解できる。自分が望んだほどには良く仕上がっていないマシンで、彼はプッシュしすぎて、中国では優勝を逃がした」

「上海でダニエルが勝つのを見たことはマックスにとって大きなショックだったはずだ」とペレスは付け加えた。「だけど僕は、彼は賢い男だと思っている」

 ペレスは「もしマックスが後ろにいたら、何かとんでもないことが起こるのでは、と考えざるを得ないよ」と、フェルスタッペンが迫る様子がバックミラーに映るとどうしても神経質になるという他のドライバーたちの話に同意しつつ、以下のように語った。

「けれど、ほとんどの場合、彼は自分でマシンをコントロールできているんだ」

「このところ連続してひどいレースを展開しているけれど、彼はそれを乗り越えるだろう。とても優秀なドライバーだし、僕は彼とレースをすることに何の不安もない」

「彼は今起きていることを自分で理解したうえで、さらに良いドライバーになっていくはずだ」

 ペレス自身、2013年のフォース・インディアへの移籍を通して自分の問題を解消できたようだ。自信と良い成績を取り戻すきっかけになったというのだ。

 先週バクーで、8度目となるF1表彰台の座をつかんだペレスは、チームにおいて、そしてメキシコ人として、F1世界選手権史上最も表彰台を獲得したドライバーになった。だから自分と同じように、フェルスタッペンが今後自分の過ちを学び、そこから成長してもおかしくはない。

 フォース・インディアのチーム副代表であるボブ・ファーンリーは、バクーでの決勝日に「大手のF1チームがペレスをそれほど欲しがっていないとすれば残念なことだ」と話した。

「ドライバーとしての彼には素晴らしい力がある。今のF1で、彼ほど過小評価されているドライバーはいないだろう」

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