MotoGP:ペドロサ、アクシデントの確認を依頼するも「ロレンソにペナルティを与えたいわけじゃない」

 MotoGP第4戦スペインGPはダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)にとって、失望に値する結果となった。「僕はホルヘ(・ロレンソ)にペナルティを与えたいわけではない。ただ、コース上で起こったことを、彼らに正しく理解してもらいたいだけなんだ」。ペドロサは終盤に起こったアクシデントについてそう語った。

 ペドロサは予選で、2番グリッドのフロントロウを獲得。決勝レースでは中盤から5番手スタートだったマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)の先行を許したが、ホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ・チーム)、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)とともに激しい2番手争いを繰り広げた。

「僕はうまくバイクに乗れていたし、いいレースができていた。加速面が完全ではなくて、パスするのが難しい状況ではあったけれどね。だから、ドヴィとホルヘについていってタイヤを温存し、チャンスを伺っていたんだ」

 しかし18周目のバックストレートエンドで、アクシデントは起きた。2番手を走行中だったロレンソのインに入り前に出たドヴィツィオーゾだったが、止まり切れずラインを外す。

 この間隙を突こうとインに入ったペドロサは、ラインを外して戻ってきたロレンソと接触してハイサイド。ロレンソとドヴィツィオーゾもともに転倒を喫し、三つどもえの2番手争いはあっという間に終焉を迎えることになったのだ。

「あのふたりはとてもワイド(なライン)になっていた。僕はイン側の本来のラインをキープしていたけれど、次の瞬間、大きな接触を受けてひどいハイサイドを味わった。不運にも、3人ともクラッシュしてレースを終えることになってしまったんだ」

「僕は本当に悲しいし、失望している。僕たちはとてもすばらしいレースをしていたのに、ゼロポイントで終わってしまった」

 この接触で、ペドロサは右の臀部(でんぶ)を負傷。「ひどい痛みを感じているし、腫れもある」状態だという。しかし、ペドロサがより「失望した」のは、レースディレクションに対してだった。

「僕をさらに悲しく、失望させたのは、レースディレクションが今回のアクシデントについて、きちんと理解していないことなんだ。彼らの決定がどのように行われたかを理解したかったから、僕は彼らと話をしに行った。僕たちを例として見ているライダーがいるわけだからね」

「彼らは通常のラインを走っていた場合と、ラインを外して元に戻ってきた場合、どちらも正しいと答えた。けれど、『今回の場合、どちらが間違っていたのか?』という僕の問いには答えてくれなかった」

 今回、イン側にいたのはペドロサ自身であり、ラインを外して戻ってきたのはロレンソということになる。しかし、ペドロサは自身の転倒の原因となったロレンソに何かしらの罰則を望んでいるわけではないという。

「もしレースディレクションの判断に賛同できかねるのなら、ホルヘに何からのアピールするしかない。けれど、僕はホルヘにペナルティを与えたいわけじゃない。ただ、彼らにコース上で何が起こったのか、正確に理解してもらいたいだけなんだ」

 2018年シーズンの4戦を終え、アルゼンチンGP、スペインGPと不運な転倒をすでに2回喫しているペドロサ。今大会の予選で好調さを見せていただけに、その「失望」は大きかったに違いない。

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