ブランパンGT第3戦:アウディ強し。チームWRTがブランズハッチ2戦2勝

 ブランパンGTシリーズ第3戦は5月6日、スプリントカップ第2戦がイギリス・ブランズハッチで行われ、ベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの2号車アウディR8 LMS(ウィル・スティーブンス/ドリス・バンスール組)がレース1でポール・トゥ・ウインを飾った。また、同日に開催されたレース2でも僚友の17号車アウディR8 LMS(スチュワート・レオナルド/フレデリック・ベルビッシュ組)が、スタートから一度も首位を譲らない走りを披露。チームWRTが2レースで2勝を挙げている。

 日曜の2レース開催となったシリーズ第3戦はオーバーテイクの難しいテクニカルコース、ブランズハッチが舞台。予選順位が決勝結果に大きく影響することになるイベントのレース1でチームWRT勢は、2号車アウディがポールを奪い僚機の1号車アウディが4番手の好位置につける。

 1周目の1コーナーでコースオフした車両の回収のため、開始1分足らずでセーフティカーが導入された決勝では、リスタートで首位を守った2号車アウディの背後に、2番手からスタートしたアテンプト・レーシングの66号車アウディがピタリとつけた状態でレースが進められていく。

 後方では4番手スタートの1号車アウディがAKKA ASPチームの88号車メルセデスAMG GT3を交わして3番手に浮上。しかし、上位2台に対しては徐々にリードを広げられてしまう。

 レース中盤に義務付けられたピット作業後はバントールからトップ車両を受け継いだスティーブンスに、2番手の66号車アウディをドライブするケルビン・バン・デル・リンデが接近。その差を0.7秒とする。

 しかし、追いついても抜けないのがブランズハッチ。トップ2台がバトルをはじめると3番手の1号車アウディ、4番手の88号車メルセデスもこの争いに加わり、4台によるトップ争いに。

 均衡が崩れたのはスタートから60分後のファイナルラップ。3番手を走る1号車アウディのクリストファー・ミースが1コーナーで66号車アウディのイン側に攻め入りオーバーテイクを成功させる。これに88号車メルセデスも続いていくが、アウト側の66号車アウディと接触。グラベルに弾き出された66号車アウディは失速し3番手から5番手に後退しただけでなく、左リヤタイヤをパンクさせ8位でのチェッカーとなった。

 1号車アウディの追撃を振り切ってポール・トゥ・ウインを飾った2号車アウディのスティーブンスは「後ろからとても大きなプレッシャーを受けていたが、オーバーテイクが難しいコースであることは分かっていたから、自分のやるべきことに集中していた」とレースを振り返った。

「僕らはサーキットの“インディ・セクション”で非常に強かった。ほかの場所で遅くてもここで取り返すことができていたんだ。また、チームは素晴らしいピット作業でコースに送り出してくれた。今日の結果は“最高”と言っていいだろう」

 レース1の終了から3時間半後にスタートを迎えたレース2のグリッドは、チームWRTの17号車アウディ、88号車メルセデス、1号車アウディというオーダーに。

 スタートはレース1と同様に後方集団のなかでアクシデントが発生。レース開始後すぐにセーフティカーが入る。

 12分後のレースリスタート後は、正式スタート直後の1コーナーで3番手から2番手に順位を上げた1号車アウディのミースが17号車アウディのベルビッシュとバトルを開始。2台のバトルはピットウインドウ・オープンとなる25分過ぎまで続けられていく。

 迎えたレース中盤のピットタイミングではスタートから26分後にいち早く1号車アウディが動き、アンダーカットを狙う。対する17号車アウディはそこから3ラップ後の20周目にピットに戻った。

 17号車アウディがコースに復帰すると2台はレオナルド駆る17号車アウディがわずかに前という状態で1コーナーへ突入。スプリントカップの前年王者であるレオナルドは、アウトラップという苦しい状況のなか、すでにタイヤが温まっている1号車アウディ猛攻をしのぎポジションキープに成功すると、自らのスティントである30分間ポジションを守り抜いてみせた。

 1号車アウディはレース1に続いて2位表彰台を獲得。3位にはレース1を悔しい想いで終えたアテンプト・レーシングの66号車アウディが入り、アウディ勢がワン・ツー・スリーフィニッシュを達成している。

© 株式会社三栄