クレームに苦手意識ありませんか?
クレームと思うと、「嫌だなぁ」と感じてしまう方がほとんどではないでしょうか。
しかし、クレームはお客さまからの貴重なご意見です。
多くの日本人は、不快な思いをすると黙って、二度とそのサービスは利用しません。
なので、不快に思っているかどうかが分からないことが多いのです。
そんな中、クレームとして大切なご意見を伝えてくださるお客さまはとても貴重です。
今回は、クレームをいただいた時の対応についてお話します。
落ち着いて、冷静に
「クレームです!」と言って、話し始めるお客さまはほとんどいませんね。
大きな声で既に怒っていたり、逆に低い落ち着いた物腰で淡々と話し始めたり。
急にクレームをいただくと、胸がどきどきしてしまいます。
まずは心を落ち着けましょう。
お客さまの凄く怒っている様子が伝わっても、とにかく落ち着くこと。
慌てたり、逃げたり、無言になってしまうと、さらに怒りが増してしまうこともあります。
声のトーンを少しずつ下げるのは、お客さまの怒りを鎮めるのに少し効果的です。
感情的な相手に対して、自分は冷静に、感情的にならず対応することが重要です。
まずはお詫びの気持ちを伝える
まずは、何よりも丁寧なお詫びの言葉を。
なぜ怒っているのかが分からない時は、ご迷惑をおかけしたことに対するお詫びを伝えましょう。
お客さまの怒りを少しでも和らげる気持ちが大切です。
事情が良く分からないのに謝ることで不誠実と思われてしまうこともありますので、事務的な謝罪ではなく、心からの気持ちを表現します。
心のこもっていない謝罪をただただ繰り返すのも逆効果です。
耳を傾ける
お客さまの言葉に耳を傾けましょう。
お客さまの言葉を真摯に聞き、受け止めることに徹します。
上司に引き継ぐときに、お客さまにもう一度話してもらわずに済むように、正確に聴くことが大切です。
話を遮ってはいけません。
怒っている内容を聴くということは、お客さまが怒りを言葉に表しているということ。
お客さまご自身も、なぜ、何に対して怒っているのか、ご自身でも冷静になっていくことができるので、大切な時間です。
できるだけ早く対応する
お客さまの気持ちが伝わり、自分で対処できないことの場合、あいまいな言葉で済ませないようにすることが大切です。
「私では対応できませんので、上席を呼んでまいります。」
「私では判断しかねますので、担当に代わります。」
など、自分自身でなんとか対応しようとする気持ちも大切ではありますが、できないことははっきりさせることも大切です。
具体的に機内でクレームをいただいた経験
日本食が無い!日本発のフライトでは、お客さまは皆さま好奇心旺盛で洋食を選ばれる方が多いのですが、反対に、海外発日本行きのフライトでは洋食を食べ飽きたお客さまが、和食を選ばれることが多くあります。
それに合わせてお食事のチョイスの数も変えていますし、選んでいただくときに工夫はしているのですが、足りなくなってしまうことも。
そのお客さまは、やはり行きは洋食を召し上がっていて、もう2週間近く日本食を召し上がっていないので、機内食をとても楽しみにしてくださっていたそうです。
とはいえ、どうしても和食をご用意することはできませんでした。
まずは、心からのお詫びを。
それでもご納得していただけない場合、何か代わりになるものをお持ちします。
大切なのは、謝るだけでなく、誠心誠意、代わりをご用意すること。
また、特別食をオーダーできることもお話し、ぜひまたご利用いただきたい気持ちを伝えました。
モニターが壊れている!最新の機材でしたが、モニターが壊れてしまっていたことがありました。
もちろん、離陸前のチェックではきちんと動いていました。
満席で代わりのお席をご用意することもできず、10時間を超えるフライトでお客さまには大変ご迷惑をお掛けしてしまいました。
日本人のお客さまでしたので、特別に日本語の雑誌や新聞をお持ちしたり、代わりのものをご用意して差し上げました。
起きてらっしゃる時はこまめに話しかけ、退屈しないよう工夫をしました。
座席の感覚が狭い!とても背の大きなお客さまで足がとても窮屈そうでした。
本当は搭乗時から気にかけてさしあげたら良かったのですが、満席で代わりのお席もご用意できず。
ギャレー(飛行機の台所)で寛いでいただいたり、機内をウォーキングしていただいたり、工夫をしました。
いかがでしょうか?
大切なのは、クレームをクレームのまま終わらせるのではなく、チャンスに変えることです。
お叱りを受けたあとは、避けてしまいたくなるのが人の心です。
しかし、機内では逃げ場がありません。
機内で起こったことは機内で解決する、そんな気持ちで乗務していました。
怖がらず、真摯に真っ直ぐ受け止めて、お客さまの心に響くサービスに変えられたら嬉しいですね。