建築士をかたり設計、住宅55件で不正 横浜や茅ケ崎など

 県は7日、建築士資格を持たない男性(51)が、県内に実在する2級建築士の名前や事務所名を詐称し住宅の設計などを行っていたことを明らかにした。一戸建て住宅など55件に上り、このうち同日までに確認が取れた3件は建築基準法に適合していた。県は対象の建物の仕様や耐震性などについて確認を進めるとともに、法的処分を踏まえ背景を調査していくとしている。

 県建築安全課によると、男性は木造一戸建て住宅の設計のほか、建築確認、中間・完了検査の申請手続きを無資格で行っていた。県は「混乱を招く恐れがある」として、名をかたられた建築士や事務所名などを公表していない。

 同課によると、男性から申請された書類に不備があったため、民間の指定確認検査機関が記載の事務所に確認を取った際に詐称が発覚。県は4月5日に同機関から情報提供を受け、男性に事情聴取したところ関与を認めた。

 これを受け、県や関係自治体が調査したところ、2013年10月以降、横浜(26件)、茅ケ崎(19件)、藤沢(3件)、平塚(2件)、鎌倉(1件)の各市と寒川町(3件)の計54件に加え、東京都大田区の1件に関わっていたことが分かった。

 建築基準法の規定で、建築士が設計、工事監理で建物の仕様や建ぺい率、耐震性などの法適合を確認している場合は自治体や検査機関の審査が一部省略される。男性が無資格で関わっていたことから、県などは居住者の安全確保のため、審査が省略された項目の法適合状況について建築主らに報告を依頼。今月2日までに県と茅ケ崎市が管轄する9件について報告を受け、確認作業を終えた3件については全て法に適合しているとした。

 県は「まずは安全確認が第一。背景や処分関係はこれから。事実行為と建築基準法の規定に当てはめて対応を決めていきたい」とし、県建築士事務所協会が窓口を設けて相談に応じる。相談窓口は電話045(228)0755。

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