日鉄住金工材、会議・研修施設「テクノハートセンター・ミラクリエ」竣工

 日鉄住金工材(本社・上越市、社長・石川昌弘氏)は今年3月、本社敷地内に会議・商談や社員研修、交流施設「テクノハートセンター・ミラクリエ」を建設した。職場とは雰囲気を変えた新施設で、社員の成長が期待される。今年の経営テーマの一つは「心身健康経営。やる気と結束力・協働力が大切。これがないと質の高い改善やイノベーションが始まらない」と石川社長。

 木造平屋建てで建築面積は約240平方メートル。それぞれのゾーンの機能が明確だ。多人数で会議・商談、研修を行う「バリュールーム」は約90平方メートル。社員が会社・職場の未来を語り合う「イノベーションルーム」は約40平方メートル。表彰状や会社のトピックス、地域活性化ブログに掲載したイラストを掲示したロビーは約30平方メートル。

 愛称は「会社の成長を目指して技術(テクノ)とマインド(ハート)の交流を行い、未来を創造(クリエイト)する」の意図で「ミラクリエ」にした。

 同じ場所には1958年建設の木造倉庫があった。老朽化対策が課題だったが新たな施設を新築した。

 《外観もこだわり》

 石川社長は地域の景観に配慮し、意匠にこだわった。外観は地域活性化に寄与すべく高田町屋風の雁木付きとし、取材当時(4月下旬)は五月の節句に合わせ鯉のぼりを掲げた。高シェアを誇るチタン製電着ドラムなどの海外のお客様との技術交流、商談を意識し玄関や内外装は格子や木材・和紙を使った和風インテリアとし、窓から周辺の風光明媚な自然や四季折々の祭事を楽しめる。

 天井の高い開放的な空間を演出した。イノベーションルームの一角は都会の人気喫茶店からヒントを得てブックシェルフを兼ねた洋風のレンガ造りにした。

 本社玄関周辺の一角は直江津を景観的に盛り上げる意図が込められており、昨年70周年を記念して増設した鳥居(伏見稲荷大社をイメージ)、健康増進施設としてリフォーム中の倉庫は外壁をレンガ風(世界遺産富岡製糸場をイメージ)にした。

 《三つの機能》

 イノベーションルームは主に三つの役割がある。

 (1)職場ごとに未来の夢を語り、励まし合うミーティングとコンパを実施する。足元から改善に取り組む事実前提アプローチだけでなく、「将来のありたい姿を描き、今何をすべきか」という改革(価値前提)アプローチに取り組む。

 (2)ミドルマネージャーの変革のコミュニティーの場とし、「コーチングアワセルブズ」(自らの経験、課題を分かち合い成長する)に取り組む。毎月5人程度のチームに分かれ「マネジメントハプニングス」(職場の出来事・問題の掘り下げ)と行動変革を話し合う。

 (3)定時後や休日の活用。オープンキッチンを設置し、(育児休業取得の)男性向け料理教室を開催する。大型モニターでアルビレックス新潟などの社内パブリックビューイングを開催する。

 石川社長は「ありきたりの改善で満足するのではなく、成長し続けるために発想を変え、変革に取り組みたい」と抱負を語る。

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