白銅、18・19年度の設備投資17億円超 アルミ、ステンレス厚板の加工能力2割引上げ

 非鉄流通大手の白銅(社長・角田浩司氏)は18~19年度の2年間で設備投資に17億5千万円を投じる。投資額の8割程度を半導体・液晶製造装置部材の加工設備などに充て、加工能力を2割程度引き上げるほか、生産現場のIoT化をはじめとしたマネジメントシステムの高度化にも資金を投じる。そのほか、顧客のニーズを前提に新たな加工事業にも挑戦していく考え。

 今年度からの2年間は、アルミやステンレス厚板の加工能力引き上げを念頭に設備投資を実行する。角田社長は「この数年間も生産設備に資金を投じ、加工能力を3割程度引き上げてきた。それでも足元の各種製造装置需要の伸びに対応し切れておらず、キャパシティーが足りないと考えている」と説明。生産設備を増設し、能力を2割以上引き上げる考えを示した。

 設備投資について、具体的な設備の選定はこれからとしているものの、神奈川工場(厚木市)と福島工場(郡山市)に設置済みの全自動6面フライス加工機(ステンレス厚板用)を最大3基導入する計画で、そのうち1基は滋賀工場(蒲生郡)への導入を検討。全自動機を導入することで省人化を図る。

 このほか半導体製造装置需要の増加に対応するためアルミの4・6面フライス加工機の増強なども視野に入れる。

 設備増強と同時にIoTへの取り組みを軸とした生産性の改善も推進する。工場の設備をネットワークでつなぐためのシステムにも資金を投じる。機械の非稼働時間を分単位で短縮化するなど、生産ラインを機械でコントロールして品質や安全の向上とコストの低減を狙う。

 また、白銅は昨年11月に埼玉工場(加須市)を立ち上げ神奈川工場から製品を移管したことで、神奈川工場に約2400平方メートルの生産スペースを確保した。この動きに合わせて神奈川工場のレイアウトを変更し、通路の拡張や物流の清流化を推進。同時に床面をアスファルトからコンクリートに再整備し、機械の基礎を強化するなど生産ラインの改善も進めている。

 資金の一部は新たな加工へも振り分ける。この数年間で、金属3Dプリンターによる造形受託やファインリング加工など、加工ラインアップを増やしてきた。

 今後も「当社がこれまで扱ってこなかったウォータージェットやレーザー切断、マシニング加工なども検討していく必要はある。ユーザーの求めに対応していきたい」(角田社長)としている。

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