「なぎなた合宿」定着 3年目で規模2倍 全国強豪集まる

 「なぎなたのまち」を宣言している長崎県松浦市。競技力向上を目的に市が毎年実施する選手の強化合宿「青島錬成会」が3年目を迎え、全国の強豪選手が集まる合宿へと成長した。本年度は初年度の2倍の約50人が参加。県立松浦高なぎなた部の板垣勇監督は「非常に密度の濃い稽古が積める機会」と話す。
 3日午後、同市星鹿町の青島。美しい伊万里湾に浮かぶ島の体育館に、威勢よい掛け声と力強く踏み込む足音が響く。基礎練習を中心に約2時間半。全国大会経験者を含む高校生や大学生らが、所属に関係なくなぎなたの稽古に励んだ。
 日本一を目指す県立松浦高なぎなた部のメンバーも8人が参加した。5日までの2泊3日で、強豪校との練習試合などを経験。技術を高め、インターハイへの決意を新たにした。
 松浦市は2003年の長崎ゆめ総体、14年の長崎がんばらんば国体で、なぎなた競技の会場となった。その後、市を代表するスポーツとして浸透を図り、競技力向上によるスポーツ振興を図ろうと「なぎなたのまち」を宣言。合宿事業のほか、ジュニア世代の育成を目的にした教室を開講し、なぎなたの普及を進める。
 合宿事業は「市内選手が地元でも日本トップレベルの練習を積むことができるように」と、県の補助を受け市が16年度にスタートした。市は宿泊代を補助。全国的な指導者である板垣監督のネットワークもあり、今では山梨県や沖縄県などからも全国上位入賞者らが多く参加する合宿となった。松浦高なぎなた部の冨野真裕さん(17)=同校3年=は「他のチームからたくさんのことを学べる貴重な機会」と話す。
 松浦市は、なぎなた合宿事業を市の魅力発信の場としても活用する。市は民泊に力を入れており、毎年3万人近い生徒が訪れる体験型修学旅行の人気プログラムとなった。合宿中の参加者にも島の一般家庭で寝起きしてもらったり、地元の魚や野菜を味わってもらったりしている。つかの間の田舎暮らしだが、合宿参加者からは「ふるさとに帰ってきたみたい」と好評だ。
 本年度から県の補助が終了し、市の担当事業となったなぎなた合宿。市は「事業として定着してきた。今後は中学生などジュニア世代も参加できる事業にできれば」としている。

全国の強豪選手らが集う合宿で、稽古に励む参加者=松浦市立青島小中学校体育館
民泊先で食事の準備を手伝う合宿参加者=松浦市、青島(参加者提供)

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