諫干訴訟 和解協議は継続 高裁 開門派に出席求める

 国営諫早湾干拓事業を巡り、2010年の開門確定判決を履行せず制裁金を科された国が、開門を強制しないよう求めた請求異議訴訟控訴審の第3回和解協議が8日、福岡高裁(西井和徒裁判長)であった。「非開門」前提の和解案を拒否する開門派原告は前回に続き欠席したが、同高裁は和解協議継続を決め、福岡、佐賀、熊本の3県漁業団体が1日に発表した「非開門での和解協議継続を求める」とした統一見解を考慮し、開門派原告に協議出席を求めた。
 同干拓事業を巡っては、同高裁が3月、開門しない代わりに国の漁業振興基金案で解決する和解を勧告。有明海沿岸の3県漁業団体は基金案の運営主体と想定され、統一見解では基金案と調整池からの排水ポンプ増設など3項目の実現を求めた。国は7日、統一見解を添え、和解協議継続を求める意見書を同高裁に提出していた。
 非公開の和解協議終了後の会見で、農林水産省農地資源課の横井績課長は「開門派は3県漁業団体の統一見解を検討してほしい」と要望。「現時点での和解は難しいが、(長崎を含む有明海沿岸)4県と各漁業団体が国の基金案に賛同しているのは事実」と基金案実現に意欲を示した。
 これに対し、開門派弁護団の馬奈木昭雄団長は取材に「3県漁連が基金を求めるのならば、国は裁判と関係なく(基金を)つくるべきだ」と批判した。次回28日の和解協議も欠席する方針。

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