欧州委員会は7日、アルセロール・ミッタル(AM)によるイタリア高炉大手、イルバの買収を承認すると発表した。
欧州委は承認の条件として、AMが4月に公表した欧州での一部製鉄所の売却と、AMとのコンソーシアムを形成し共同での買収を予定していた伊鉄鋼大手のマルチェガリアが撤退することを条件としている。欧州委は、イルバが保有する欧州最大の薄板生産拠点、タラント製鉄所をAMが手に入れれば熱延、冷延、表面処理鋼板の生産能力でシェア40%を超えるとし問題視していた。
AMは欧州で6カ国にある製鉄所を売却する。承認条件を満たすため、ホットコイルのシェアではルーマニアの高炉一貫製鉄所、AMガラチとチェコの高炉一貫製鉄所、AMオストラバの2つを手放す。
冷延ではベルギーのAMリエージュの一部設備とイタリアのリローラー、AMピオンビーノ、マケドニアのリローラー、AMスコピエとAMガラチの売却で解消する。
表面処理鋼板ではルクセンブルクのAMデュドランジュのほか、AMリエージュの一部設備、AMピオンビーノ、AMスコピエ、AMガラチを売却することでクリアできるという。
AMはこれら資産売却に加え、伊国内で表面処理鋼板の高いシェアを持つマルチェガリアをコンソーシアムから外すことで、買収条件を満たせることになった。欧州委は、これら資産を売却した上で操業を継続することを条件に加えている。