【新日鉄住金グループ企業の〝今〟(26)】〈東海カラー〉「色の力」で街を明るく元気に 「小ロット、短納期、特殊色」に磨き

 東海カラーは九州唯一の塗装鋼板メーカーであり、新日鉄住金の100%子会社である。設立は2000年4月だが、前身の東海鋼業が塗装鋼板工場の営業運転を開始したのは1964年。塗装鋼板の累計生産量は200万トンの大台を突破している。「トーカイカラー」ブランドとして、半世紀以上の歴史を持つ。

 キャッチフレーズは「空は地球の屋根 色があるから美しい」―。社名にもあるように色が命の会社。色の力で街を明るく元気に、そして美しくする使命を担っている。衣食住の「住」の分野で、社会貢献する塗装鋼板メーカーであり続けたいという精神が、屋台骨となっている。

 経営指針は、密着営業を徹底した上で(1)小ロット(2)短納期(3)特殊色―に磨きをかけると明快。強みはカラーコーティングラインにある。標準色に対するユーザーの要望には最低2トンから応じており、休止の無い色替(クイックチェンジ)回数は国内メーカーで断トツの月間約150回を誇る。

 同社の生産量は、設立時とほとんど変わらない。最も多い年は年間4万5千トン。リーマン・ショック時は同3万3千トンまで落ち込んだが、その後は徐々に回復。平均して同4万トンを持続している。現在は2直のフル稼働状態で、目標レベルを維持できている。

 4月には、2020年度を最終年度とする中期経営計画を策定した。ポイントは、既存の指針(小ロット、短納期、特殊色)に磨きをかける一方で、「QCDDS」(品質・コスト・納期・開発・サービス)の徹底を打ち出したこと。自己満足で終わらせないために毎月、顧客別にQCDDSを評価している。

 近年は新製品を相次いで投入している。最近のヒット商品は「トーカイカラーGL・15いぶき」。06年から投入したが、既に主力製品に育ってきている。酸性雨に強く、耐摩耗性と遮熱性に加え、原板にエスジーエルを採用することにより耐食性を強化しているのが特徴。また、環境に配慮したクロメートフリーの対応も可能。

 社員数は設立時と変わらない。現在も約60人で臨んでいる。一方で黒字経営を続けており、小粒ながらもピリッとした堅実経営には定評がある。小規模ゆえのスピード感と、パートナー企業との協業を大切にする、オープンマインドの精神が身についている。

 同社と取引のある九州、中国、大阪、名古屋の販売業者、施工業者で組織している「東海カラーひびき会」(会員・28社)は今年、発足から30回目の節目を迎える。会員はお客様であるのと同時に、貴重なパートナー企業でもある。10月には、関西地区で記念大会を予定している。

 3代目の社長に就任して、丸2年が経過した本多社長は「小さい会社なりの良さを体感しています。お客様と直に接することで、生の最新情報を入手できる。早くアクションができるのも利点。今までと違う醍醐味を感じます」とほほ笑む。身の丈にあった経営で、メードイン九州のモノづくりに貢献する。(このシリーズは毎週水曜日に掲載します)

 企業概要

 ▽本社=福岡県北九州市若松区大字安瀬1番地

 ▽資本金=2億5500万円(新日鉄住金の出資比率100%)

 ▽社長=本多利光氏

 ▽売上高=約50億円

 ▽主力事業=建築部材(屋根・壁など)用のカラー鋼板とその加工品の製造・販売

 ▽従業員数=約60人

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