「大江戸展」後期スタート

 江戸時代の華やかな文化、芸術を紹介する「大江戸展」(長崎新聞社、長崎県美術館主催)の後期展が9日、長崎県長崎市出島町の同館企画展示室で始まった。前期から一部を展示替えし、近年ブームを呼んでいる伊藤若冲(じゃくちゅう)の「象図」や、天才浮世絵師・歌川広重の代表作「東海道五拾三次」などが新たに登場。大勢のファンが楽しんだ。
 同展は、東京富士美術館(東京都八王子市)が所蔵する名品を集めた企画展で後期展には屏風(びょうぶ)絵や掛け軸など約80点を展示。半数が後期展からお目見えした。
 会場の各作品はそれぞれ異なる魅力を放っている。江戸中期、京都を舞台に活躍した若冲の「象図」は迫力満点。得意の題材「鶏図」の表情もユーモラスに描かれている。一方、円山応挙(まるやまおうきょ)が描いた金鶏は写実的で細密な表現。鈴木其一(きいつ)の「萩月図襖(ふすま)」は前期の目玉「風神雷神図襖」とは雰囲気が異なり、江戸琳派(りんぱ)特有の美麗でおしゃれな品格を醸し出す。
 長崎県諫早市平山町の木村富子さん(80)は「前期の北斎の作品は迫力があったが、広重の作品には江戸時代ののどかな風景や暮らしがよく描かれ、風情があり、引き込まれた」と感想を話した。後期展は27日まで。

展示替えで若冲の「象図」(左)などの名品が新しくお目見えした「大江戸展」の後期展=県美術館

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