経済成長と文化重点 子育て、医療・福祉充実も 横浜市中期計画素案

 横浜市は9日、2018~21年度の中期4カ年計画の素案を発表した。人口減や超高齢化社会の到来といった課題を踏まえつつ、「力強い経済成長と文化芸術創造都市の実現」など約10年後の30年度を展望した中長期的な六つの戦略や、4年間に重点的に取り組む38政策を掲げた。林文子市長は子育てや女性活躍支援、医療・福祉の充実などに引き続き注力する考えを表明、「積み上げてきた実績をもとに横浜をさらに飛躍させる」と意気込みを語った。

 市は19年をピークに人口減に転じるほか、25年には65歳以上が100万人、75歳以上が60万人に迫ると見込んでいる。30年度には市内公共施設の老朽化が本格化。一方で、計画期間中は東京五輪などの国際的なイベントもあり、横浜が一層の飛躍を遂げる好機との認識の下、六つの中長期的な戦略を設定した。

 具体的には(1)力強い経済成長と文化芸術創造都市の実現(2)花と緑にあふれる環境先進都市(3)超高齢社会への挑戦(4)人が、企業が集い躍動するまちづくり(5)未来を創る多様な人づくり(6)未来を創る強靱(きょうじん)な都市づくり-とし、各戦略の実現に向け、38政策と207施策(事業)を盛り込んだ。うち22事業が新規。事業の概算見込み額は、約1兆8500億円としている。

 新規事業には「新たな劇場整備の事業化検討・事業推進」、花と緑による魅力やにぎわい創出を図る「ガーデンネックレス横浜の推進」「SDGs(持続可能な開発目標)を推進する新たな未来都市の推進」、最後まで自分らしく生きることに関心を持ってもらうための啓発活動「本人による自己決定支援」などが盛り込まれた。統合型リゾート(IR)については「国の動向を見据え、検討」との一文が明記された。

 財政運営面では「横浜方式」と呼ばれる市独自のプライマリーバランス(基礎的財政収支)を採用。4年間の市債活用額は5900億円程度と見込むが、計画の前半2年間と後半2年間で発行額を調整し、通期で均衡を確保するとしている。

 市は、素案に対するパブリックコメント(今月14日~6月22日)を踏まえ、9月ごろに原案を策定。原案を基に、市会に議案を提出する予定という。

経過表

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