カジノ検討“復活” 横浜市長は「白紙」強調

 横浜市が9日に発表した2018年度から4年間の中期計画素案には、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)について「国の動向を見据え、検討する」との記載が新たに盛り込まれた。林文子市長は同日の定例会見で「IRの実現や、施策に入れることに前向きだということではない」と述べ、従来通りIRの市内導入の是非について「白紙」の立場を強調、国会でのIR整備法案の審議を注視していく考えを示した。 

 IRの記載は市が掲げた六つの戦略のうちの一つ「人が、企業が集い躍動するまちづくり」に盛り込まれた。14~17年度の前計画でも「検討」の表現は盛り込まれたが、今年1月に次期中計の基本的方向を示した際は「白紙」(市長)として触れておらず、今回の素案で“復活”した形。

 市長は「1月段階ではどういう風に法案が提出されるか全く分からない状態だった」と説明。4月に整備法案が国会提出されたことを踏まえ、「国が目指す日本型IRの内容もはっきりしてくるであろうということに対し、しっかり把握したいという意味だ」と述べた。

 市は14年度から毎年1千万円を予算計上し、世界各地のIR事例や市内に導入した際の経済効果、ギャンブル依存症などについて調査。だが、17年度は法案提出に向けた「日本型IR」の議論が本格化したのが年度終盤だったため予算は未執行となり、18年度も未着手。市として調査を再開する時期は今後の法案の審議状況などを見て判断し、メリットとデメリットを検証していく方針。

横浜市庁舎

© 株式会社神奈川新聞社