産業技術総合研究所は、磁性元素を含まない、スズ・ニオブ酸化物やスズ・タンタル酸化物に正孔(電子の抜けた穴)を導入できれば磁石としての性質を示す強磁性が出現することを理論的に予測したと発表した。
磁性元素を含まない磁性体が実現すれば、一般に半導体プロセスとの親和性が悪い磁性元素を使用せずに済むため、半導体ラインで使える新たな磁気デバイス材料などでの応用が期待されている。
同研究では、対象とした酸化物に正孔を導入すると、結晶格子の模型の一つである「フラットバンド模型」を近似的に実現できることや強磁性が出現することを理論的に解明した。フラットバンド模型は、完全強磁性、超電導などの特異な物性を生み出す「奇跡の模型」として注目されてきたが、実現するための現実の物質はこれまでわかっていなかった。