史上に残る「右の安打製造機」内川聖一 大記録の2000安打は“通過点”

ソフトバンク・内川聖一【写真:藤浦一都】

王手から15打席目で2000安打に到達

 ソフトバンク内川聖一が5月9日、メットライフドームでの西武戦でようやく2000本安打を打った。史上51人目。5月5日ヤフオクドームでのオリックス戦で1999本目を打ってから14打席安打が出なかった。これは2008年4月の金本知憲(阪神)の18打席無安打に次ぐ、長い足踏みだった。

 2000本安打はプロ打者にとって野球人生の集大成というべき大記録だ。しかし、中には、2000本安打が「通過点」になる選手もいる。内川聖一もその1人だろう。2000本安打を打った51人のデータを比較すれば内川の優秀さが見えてくる。

〇通算打率 ※は左打者()は通算安打
1若松勉.31918(2173安打)※
2張本勲.31915(3085安打)※
3川上哲治.313(2351安打)※
4落合博満.311(2371安打)
5小笠原道大.310(2120安打)※
6内川聖一.308(2000安打)

 内川は右打ちの2000本安打達成者の中では、通算打率は落合博満に次いで2位だ。野球では、左打者が若干有利だとされる。内川が統一球導入後の打高投低時代の打者であることを考えても、屈指のアベレージヒッターだと言えるだろう。

〇1試合あたりの安打数
1川上哲治1.19(2351安打)※
2A・ラミレス1.16(2017安打)
3長嶋茂雄1.13(2471安打)
4張本勲1.12(3085安打)※
5内川聖一1.11(2000安打)

 内川の出場試合数は1800、安打数は2000。試合数を大きく上回る安打数を積み重ねてきたことがわかる。

シーズン最高記録でも上位にランクイン

〇シーズン最高打率
1張本勲.383(1970年/3085安打)※
2内川聖一.378(2008年/2000安打)
3川上哲治.377(1951年/2351安打)※
4谷沢健一.369(1980年/2062安打)※
5落合博満.367(1985年/2371安打)

 内川は初めて規定打席に達した2008年に、右打者史上最高打率の.378で初の首位打者に輝いた。この記録は今も破られていない。

〇シーズン最多安打 +は両打
1A・ラミレス204安打(2007年/2017安打)
2小笠原道大195安打(2001年/2120安打)※
3松井稼頭央193安打(2002年/2086安打)+
4内川聖一189安打(2008年/2000安打)
5広瀬叔功187安打(1963年/2157安打)

 2008年の189安打も、2000本安打達成者の中では4位に相当する。

 右のアベレージヒッターとしては、現DeNA監督のアレックス・ラミレスもいるが、ラミレスは通算打率.301に対して出塁率.336と四球が極めて少なかった。しかし、内川は通算打率.308に対して出塁率.355で、打つだけでなくじっくり投手の球を見極めることもできる。この部分で内川の方が上を行くと言えよう。

 今季の内川は打率.207と低迷している。2000本安打へのプレッシャーが打棒を鈍らせたと見ることもできる。しかし、内川の打撃そのものには衰えは感じられない。昨年は2度の負傷で73試合の出場にとどまったが、それでも打率.297をマークした。8月には36歳になるが、今後も安打を量産するだろう。

 右打者としては、野村克也と衣笠祥雄しかクリアしていない「2500本安打」も不可能ではないだろう。現代の安打製造機、内川聖一のさらなる活躍に期待したい。

(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2