万葉倶楽部 豊洲「今の状況では進まない」 小池都知事訪問も平行線 小田原市

万葉倶楽部を訪れた小池知事

 築地から豊洲へ移転する東京都中央卸売市場の観光拠点「千客万来施設」の事業予定者に決定している万葉倶楽部(小田原市)と、東京都の間で交渉が難航する中、5月1日、小池百合子都知事が急きょ万葉倶楽部を訪問した。

 当初、長谷川明都副知事が万葉倶楽部への訪問を予定していたが、副知事到着の8分後に小池知事も到着。「急に現れたからびっくりした」と、万葉倶楽部の高橋弘代表取締役会長は振り返る。

 約30分の面会後、小池知事は「直接ご説明に上がった。いくつかまだ開きがあるが、行政としてできること、できないことなどもあるので、都に持ち帰り話をしていきたい」と話した。

 同社は公募により2016年3月、千客万来施設事業の事業予定者に決定した。準備を進める中、昨年6月20日に小池知事が臨時記者会見で「築地は守る、豊洲を活かす」と発言。「築地は食のテーマパークに、豊洲は総合物流拠点に」という方針転換に、同社は「事業の大前提が唐突に変更された」として現在準備を停止している。

 同社に対し都は今年4月18日付で事業実施に向けた意思についての回答を求めた。回答期限の4月25日に同社は「築地再開発の具体的な内容が判然としない段階で、本事業の継続の可否を判断を下すことは極めて困難な状況」と文書で回答。また、「【1】17年6月20日の都知事臨時記者会見以前の状態に戻すこと【2】本事業の前提条件を一方的に変更してしまったことの非を都知事が認め、謝罪を行うこと」を要望していた。

 面会後、高橋会長は「(要望に対し)明確な話はなかった。時間がかかっていることで建築費が上がってしまい、事業を困難にしている。すでに準備に約10億円かかっているので事業から降りるに降りられないが、今の状況では進まない」と述べ、「失礼ですがと前置きをした上で豊洲の事業が遅れたことに責任を感じていないのかと聞くと、小池知事は都民の選択と答えた」と明かした。

記者の質問に応じる高橋会長

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