メクル第273号 「学童保育」ってどんなところ? 学校、学年こえて交流

 お父さんもお母さんも働いている家庭は今、どんどんふえています。家に帰ってもだれもいない-。子どもだけで家にいると不安です。そんな子どもたちが放課後、すごしているのが「学童保育(ほいく)」。一体どんなところなの? 何をしているの? 長崎市田中町で社会福祉(ふくし)法人おおぞら(赤瀬憲市(あかせけんいち)理事長)が運営(うんえい)する「学童クラブつめくさ」をのぞいてきました。

 午後5時前、帰りの会が始まりました。しばらくして静かになり、日直が聞きました。「今日の目当て『宿題をしてから遊ぼう』を守れた人、手を挙げてください」。子どもたちは挙げたり、挙げなかったり。「今日は(守れた人が)少なかったですね。次はがんばりましょう」
 保護(ほご)者のおむかえの時間がちがうため、子どもたちの帰りはバラバラですが、必ず帰りの会を開きます。日直が進行。次の日のテーマも自分たちで決めます。この日、決めたのは「帰りの会の前には静かにしておこう」。きょうの反省を生かしたのかな?
 つめくさは、2011年に設立(せつりつ)。平日はできるだけ外で体を動かし、週末は平和学習、夏休みには大分の久住(くじゅう)登山などにも挑戦(ちょうせん)しています。毎月誕生(たんじょう)会も開催(かいさい)。「一人一人の魂(たましい)に響(ひび)く保育」がモットーです。
 長崎市立矢上小と同市立高城台(たかしろだい)小の子どもたち67人が在籍(ざいせき)。1日4、5人の支援(しえん)員とおむかえの時間まですごします。

けん玉に夢中になる子どもたち

 「先生、来たよー!」。小学校が終わり、子どもたちが順次やってきました。午後3時半になると、みんなお待ちかねのおやつタイム。この日は手作りのホットドッグにサクランボ、イチゴ。「おいしい♪」。笑顔で口に運んでいました。
 おなかを満たし、自由時間がスタート。勉強部屋では、宿題に取り組み始めました。「ここ教えて」。下級生が上級生にアドバイスをもらっていました。
 大部屋では読書、百人一首、エレクトーンをひく子とさまざまです。昨年、数人で始めたけん玉は人気。今年は全員で練習し、大会に出場するそうです。ここでけん玉を始めた高城台小3年の中元浬玖斗(なかもとりくと)君(8)は、「いっぱい練習して6段(だん)を目指す」と燃(も)えています。

隣接する里山のアスレチック遊具で遊ぶ子どもたち=長崎市宿町

 外では、ドッジボールやバドミントン、どろんこ遊びに夢中(むちゅう)。隣接(りんせつ)する里山にはアスレチック遊具があり、元気いっぱい体を動かしていました。
 学童保育では、異(こと)なる学年がみんなで活動します。1年生から通う高城台小6年の本田葵唯(ほんだあおい)さん(12)は「自分が低学年だった時、上級生がやさしくしてくれて、とてもたよりになった。自分もそんな上級生になりたい」。
 支援員の冨永美貴(とみながみき)さんは「クラスではリーダーでない子も、学童ではリーダー性(せい)を発揮(はっき)したり、自分中心だった子が高学年になって下の子を思いやったり。そういう子どもの変化を見るとうれしい」。学校生活とはまた異なる、心の成長があるようです。
 さらに、学校をこえた交流も。「ちがう学校のお友達と遊ぶのが楽しい。友達もたくさんできたよ」。矢上小1年の福島小夏(ふくしまこなつ)さん(7)は、キラキラと目をかがやかせていました。

勉強は上級生がアドバイス

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