知ってると自慢できる!“近親憎悪”のローカルダービー5選

「愛ゆえに人は苦しまねばならぬ。愛ゆえに人は悲しまねばならぬ…」

某人気漫画の有名な名台詞であるが、距離が近ければ近いほど、愛情が深ければ深いほどに、憎しみもまた強くなるのが人間というものであろう。

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そこで今回は、スペイン・アンダルシア地方の両雄であるベティス対セビージャのダービーが行われるのを前に、近しいからこそ嫌悪し合う“珠玉のローカルダービー”をご紹介しよう。

タインウェア・ダービー

ニューカッスル 対 サンダーランド(イングランド)

イングランド北東部のタイン・アンド・ウェア州を舞台に行われる「タインウェア・ダービー」。

ニューカッスル・ユナイテッドとサンダーランドの対戦は、古き時代の英国サッカーを思わせる肉弾戦となることがしばしばだ。英国において最も激しいダービーマッチの一つであり、過去にはサポーター同士による暴力事件に発展したケースも…。

知名度ではマンチェスター・ダービーやロンドン・ダービー、マージーサイド・ダービーの方が上だが、「英国らしさ」という意味ではこの一戦に軍配が上がるだろう。

コルシカ・ダービー

アジャクシオ 対 バスティア(フランス)

フランスにも有名なダービーはたくさんある。もちろんPSGとマルセイユのナショナルダービー、リヨンとサンテティエンヌのローヌ・ダービー、モナコとニースのコートダジュールダービー…。

しかし最も「ヤバイ」ダービーマッチならば、地中海に浮かぶ島で繰り広げられるコルシカ・ダービー、その一択である。特にACアジャクシオとSCバスティアのライバル関係は激しく、毎回トラブルや逮捕者がでる「熱い」試合として有名だ。

残念ながらバスティアのほうが破産で6部降格してしまったため、しばらくは見られないカードになってしまったが…。なお、コルシカ島にはGFCアジャクシオ、CAバスティアも存在し鎬を削っている。

ジェノヴァ・ダービー

ジェノア 対 サンプドリア(イタリア)

三浦知良がジェノア時代に最初にして唯一のゴールを記録したことで知られるのがこのカードだ。

デルビー・デッラ・ランテルナ(灯台ダービー)として親しまれているジェノヴァ・ダービーは、熱量という点でイタリアの中でも屈指のダービーといっていいだろう。

ホームを共用するジェノアとサンプドリアが、箱庭のようなスタディオ・ルイジ・フェッラーリスを舞台に繰り広げる“闘い”。対立が激しすぎ、2011年にサンプドリアがセリエBへ降格した際はジェノアサポーターが市内で葬式を行ったほどである。しかも参加人数は3万人にも上ったとか。スゴイ…。

なお、今シーズンの対戦はサンプドリアの1勝1分。順位も上ということで、サンプにとっては“良いシーズン”となった。

ノルト・ダービー

ヴェルダー・ブレーメン 対 ハンブルガーSV(ドイツ)

シュトゥットガルトvsカールスルーエなど熱狂的なダービーが存在するドイツ。そのなかでも、ブレーメンvsハンブルクのノルト・ダービーは外せない。

ノルト(北)を意味する通り、北部ドイツを代表する名門クラブ同士の対戦だ。両チームともに創設は1800年代と伝統があり、最初のダービーが行われたのはなんと今から90年前の1927年!1963年発足のブンデスリーガにおいても、最も長く競ってきたダービーといえる(HSVは降格なし、ブレーメンが降格したのも1年だけ)。また、ハンブルクとブレーメンは港湾都市として経済的にも競争関係にある。

昨年10月の対戦では、ハンブルクの伊藤達哉が鮮烈なパフォーマンスを披露。相手にとって悪魔的なプレーを見せていたとして、救世主的な扱いを受けた(スコアは0-0)。

ただ、今季のハンブルクは史上初の降格危機にある。ダービーの歴史を絶やさないためにも、伊藤と酒井高徳には奇跡の残留を成し遂げてもらいたい。

ロサリオ・ダービー

ニューウェルス・オールドボーイス 対 ロサリオ・セントラル(アルゼンチン)

女性や子供の来客が増え、スタジアムでのマナーは世界的に厳しくなる傾向にある。しかし「スタジアムは戦場だ!ディズニーランドじゃないんだよ!」、そんな猛者たちにオススメしたいのがロサリオ・クラシコだ。

英国人が設立した歴史を持つ両クラブ。ニューウェルスがセントラルを"Canallas!"(ならず者)と呼べば、セントラルはニューウェルスを"Leprosos!"(ハンセン病患者)と、昨今流行りのポリティカル・コレクトネスもへったくれもない呼称で互いを罵り合う関係だ。一部の狂信的なサポーターはその過激さゆえにたびたびトラブルを起こしており、クラシコでは熱気と殺気と緊張感に満ち溢れた極上の雰囲気を味わえる。

ニューウェルスはメッシ、ロサリオ・セントラルはディ・マリアを輩出したクラブとして有名だが、この危険さをはらんだ熱さこそが、天才を生み出す土壌となっているのかもしれない。

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