米朝会談の結果言及を 長崎平和宣言 起草委が初会合

 長崎市は12日、8月9日の「長崎原爆の日」の平和祈念式典で田上富久市長が読み上げる平和宣言文の第1回起草委員会を市内で開いた。委員らは朝鮮半島非核化協議の進展が期待される6月の米朝首脳会談の結果や、日本に対する核兵器禁止条約への署名呼び掛けを盛り込むべきと訴えた。
 起草委は田上市長を委員長とし、被爆者や有識者ら計15人で構成。市は委員の意見や提案を踏まえ6月9日に宣言文の素案を提示、7月末にまとめる予定だ。
 初会合では、韓国と北朝鮮の両首脳が掲げた朝鮮半島の非核化を巡り「未来が見えた」との声が聞かれ、鈴木達治郎・長崎大核兵器廃絶研究センター長は6月の米朝首脳会談の成果をはじめ、日朝国交回復を日本の目標とするよう宣言文に盛り込むべきとした。
 非政府組織(NGO)も尽力し昨年採択された核兵器禁止条約への日本の参加を訴える意見も相次ぎ、長崎大医学部6年の西田千紗さんは「(宣言文は)市民の地道な活動で世界を変えられるという印象付けが理想的」と指摘。核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会の朝長万左男委員長は核抑止論の克服に向け「被爆地で国際会議開催の呼び掛けを」と提案した。
 安倍政権が目指す憲法9条改正への反対や、今年のノーベル平和賞候補「高校生平和大使」への言及を求める意見も出た。田上市長は核兵器への世界の関心は高まっているとして、廃絶に向け「例年以上にメッセージを発する必要がある」と語った。

平和宣言文への意見や要望を述べる委員ら=長崎市平野町、長崎原爆資料館

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