感性は6千マイルの海を越える 料理研究家 山口絵里さん 小田原市

 明るい笑顔がチャームポイント。「ちょっとしたアイデアで、食生活が楽しくなる」と話す山口絵里さん(84)は、漬物をはじめとする料理研究家。マンハッタンから北に1時間半ほどのローゼンデールで20年間に渡り「ピクルス・フェスティバル」を開催、審査員を務めている。世界6、7カ国から集まる300点のピクルスは個性も様々。全米からお客さんが訪れるなど有名になり、市長から表彰も受けた。

 かつて、山口さんは上野で青森の郷土料理店を営んでいた。母親で料理研究家の故阿部なをさんに影響を受け、洋風素材に和風の調味料を組み合わせるなど持ち前の繊細な感性で新感覚の料理を次々と生み出した。

 山口さんが渡米したのは1986年、50歳を過ぎてから。最愛の夫の死を乗り越えるためだった。ニューヨークでは漬物をメインにビジネスを展開。1992年にマンハッタンで自然食レストランをオープンした。異国の地でのチャレンジは困難の連続だったが、「夫の死から私を見事に立ち直らせた」と振り返る。

 久野に引っ越してきたのは4年前。母親の旧姓が小田原であったことから、親近感を感じたという。山口さんの代表料理「ショッキング・キャベジ」に蒲鉾を取り入れるなど、小田原の素材を生かした料理も研究中。今もローゼンデールを行き来し、6千マイルの海を越えて活躍している。

キャベツと具材を重ねた漬物「ショッキング・キャベジ」

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