メクル第274号 心を合わせ 清らかな音色 諫早・明峰中「こと部」 教え合って熱心に練習

 諫早(いさはや)市立明峰(めいほう)中(平田敏之(ひらたとしゆき)校長、261人)には、日本の伝統(でんとう)楽器「箏(こと)」を演奏(えんそう)する「こと部」があります。放課後、音楽室から聞こえてくる清らかな音色にさそわれ、練習をのぞいてみました。

姿勢良く正座をして演奏する部員=諫早市栄田町、市立明峰中
指先に神経を集中させる

◎30年近い伝統

 部員は1年1人、2年3人、3年5人の計9人。月曜日から金曜日まで毎日練習にはげみ、週に1度、講師(こうし)の黒川公子(くろかわきみこ)さんから指導(しどう)を受けています。顧問(こもん)の前田(まえだ)ひとみ先生によると、同校こと部は30年近くの伝統があり、箏だけを演奏する中学の部活としては市内でただ一つ。県内でもめずらしいのではないか、ということです。

指先に「爪」を着けて弦をはじく

◎名曲発祥の地

 部長を務(つと)める3年の柴田理緒奈(しばたりおな)さんが「姉の影響(えいきょう)で興味(きょうみ)を持ち、通っていた御館山(みたちやま)小のクラブに入って演奏するようになったのがきっかけ」と教えてくれたように、部員の半数は小学校からの経験者(けいけんしゃ)。諫早は箏の名曲として知られる「六段(ろくだん)の調(しらべ)」発祥(はっしょう)の地であることから、箏とのかかわりが強く、市内の小学校や高校にも部活やクラブがあるほか、大人の愛好者も多い土地柄(がら)なのだそうです。

◎魅力は爽快感

楽譜は漢数字で書かれている

 複数(ふくすう)の生徒による箏の演奏に指揮者(しきしゃ)はいません。パートリーダーの息づかいやわずかな手元の動きをたよりに、心を合わせるのです。早い曲調でも弦(げん)をはじく流れるような手の動きはそろっていて、厚(あつ)みのある音色がきく人の心にせまってきます。3年の雜賀昌子(さいがしょうこ)さんは「むずかしい部分をみんなで乗りこえたときには、アドレナリンが出たみたいに爽快(そうかい)な気分になります」と魅力(みりょく)を語ってくれました。
 部員同士で教え合い、入部間もない1年の平古場環奈(ひらこばかんな)さんには上級生がていねいに指導します。普段(ふだん)の練習や朝練習などに熱心に取り組む姿勢(しせい)に、黒川さんは「全員が熱心で、とてものみこみが早い」と太鼓判(たいこばん)。「人の心にとどくような演奏を目指してほしい」と期待しています。

パートごとに配置され、息を合わせて演奏

◎卒業式で演奏

 校内での発表は文化祭のほか、入学式や卒業式。卒業式では、卒業証書(しょうしょ)授与(じゅよ)の間に「春よ、来い」「ハナミズキ」などを演奏しています。今は、7月に広島県で開かれる全国小中学生箏曲(そうきょく)コンクールに向けて練習中。昨年は3位の銅(どう)賞を受賞しました。3年の松本優(まつもとゆう)さんは「今年は金賞を取るつもりでがんばりたい」と話し、全員ではり切っています。

今年は全国で金賞を!

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