外国語で観光ガイド 小田原・箱根の魅力を伝え20年 小田原市

黄色のベストで「いざ出陣!」(北條五代祭り)

 外国人観光客に通訳ガイドを行っているボランティア団体「小田原・箱根SGGクラブ(OHSGG)」。日本政府観光局の公認団体「善意通訳組織」の一つで、個人旅行をはじめ、北條五代祭りや箱根の大名行列、松田町の桜まつりなどでもガイドを通じてイベントをサポートしている。

 メンバーは県西2市8町在住者を中心に、34歳から86歳の男女74人。1996年9月に設立し、20年以上活動している。海外駐在経験者、仕事で外国語を使っている人も多く、英語のほかに中国語、スペイン語、フランス語、イタリア語を話せるメンバーも。最年長の久保田麻二さん(86)は英検1級のほか、60歳ごろからはじめた中国語も検定2級を取得。「中国語を話せる人は少ないから、役に立てたら」と笑顔で話す。

 北條五代祭り当日の5月3日、小田原駅に集まったメンバー15人は駅に降り立つ外国人に「Free English Guide(英語ガイド無料)」と呼びかけた。足を止めたアメリカ・ノースカロライナ州出身のティナさん(26)とタイーシャさん(28)に、金子茂樹さん(64)が北條五代祭りの説明をすると、2人は興味を示し小田原城まで行ってみることに。途中、甲冑隊に遭遇すると記念撮影を楽しみ、鉄砲隊の発砲には「アメリカのお店で売っているけれど、実際に撃っているのは初めて見た」と驚いた。2人が特に喜んだのは報徳二宮神社だった。「願いを実際に手で書き表すのが面白い」と、絵馬を興味深く眺めた。金子さんと一緒に参拝すると「神社そのものが素晴らしい場所。尊敬の念を込めてお参りした」と話した。金子さんは今年ガイドデビューしたばかりで、この日が2回目。「お喋りをしながら楽しめた」と振り返った。

 クラブでは研修や月1回の例会を通し、自己研さんやメンバー同士の交流を行っている。ホームページからの申し込みを受け、昨年度は年間約140件の個人旅行のガイドを行った。会長の吉田稔さん(65)は「ゲストに喜んでもらえることがうれしい。我々自身も楽しんで活動している。ガイドをした後も、メールやSNSを通じて交流を続けている人もいます」と醍醐味を話している。

報徳二宮神社を案内

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