「ヘイト集会変わらず」主催者告知に市民団体指摘

【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市のヘイトスピーチ対策の阻止を公言している人種差別扇動者、瀬戸弘幸氏が6月に市教育文化会館(川崎区)で講演会を計画している問題で、瀬戸氏が自身のブログで登壇者を明かし「自分は発言しない」と告知していることが13日分かった。反ヘイト運動に取り組む市民団体は「講演会が差別を扇動する目的であることに変わりはない」と指摘。引き続きヘイトスピーチを防止するガイドラインの適正な運用を市に求めている。

 瀬戸氏は12日に更新したブログで、講演会の登壇者は「法律の専門家と地元川崎の仲間」で「私は講演を聞く立場」としている。

 「法律の専門家」は、瀬戸氏らが市を相手に提起しようとしている訴訟の原告団長を依頼している人物。2016年5月、在日コリアンの殺害を呼び掛ける「日本浄化デモ」の主催者に対し、市が公園の利用を認めなかった件で違憲訴訟を検討しているという。

 公的施設でのヘイトスピーチを未然防止する市のガイドラインでは、施設利用の可否は申請者の性質や活動歴、告知情報などから判断する。不許可や判断に迷った場合、学識者でつくる第三者機関に意見を仰ぎ、最終決定する。

 今回同館の利用を申請しているのは瀬戸氏らが立ち上げた「ヘイトスピーチを考える会」。昨年12月の集会では、瀬戸氏を含む登壇者全員がデマを交えて在日コリアンをおとしめ、敵視と排斥をあおるヘイトスピーチを行っている。

 市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は「会はヘイト団体以外の何ものでもなく、瀬戸氏が発言しないからといって講演会がヘイト目的であることに変わりはない。『仲間』の人種差別主義者を集め、『日本浄化デモ』を正当化しようとしていることからも明らかだ」と指摘。

 講演会を告知する瀬戸氏のブログには「川崎の朝鮮民族は侵略者」「在日南北朝鮮人どもが日本からいなくなればいい」「妨害勢力に先制攻撃を仕掛けてはいかが?」といった書き込みが相次いでおり、「このような講演会が予告された時点で差別があおられ、恐怖にさらされるという実害が在日コリアン市民に生じている」と訴えている。

瀬戸氏が参加した「日本浄化デモ第3弾」を座り込んで阻止する市民=2016年6月5日、川崎市中原区

© 株式会社神奈川新聞社