【Bリーグ川崎敗退】東芝、68年の歴史に幕 DeNAに譲渡

 惜しくも有終の美は飾れなかった。千葉県船橋市で13日に行われたバスケットボールBリーグのチャンピオンシップ(CS)準々決勝で、強豪千葉ジェッツの前に敗退した川崎ブレイブサンダース。今季限りで親会社が東芝からディー・エヌ・エー(DeNA)に譲渡されるチームが、東芝とともに歩んだ68年間の歴史に幕を下ろした。

 「いろんな方のためにも本当に勝ちたかった。申し訳ないと思います」。試合後、川崎の辻直人選手は人目をはばからずに涙した。大事な試合でシュートの精度を欠いた日本代表選手は敗北の重みを受け止めた。

 1950年創部の名門。激動の1年を主将として引っ張った篠山竜青選手は「実業団時代も成績が悪ければ廃部になるかもしれなかったし、(譲渡が決まっても)前向きに取り組めてきた」と、チームの逆境を力にしてきた。

 東芝時代から脈々と受け継がれる強固な守備やハードワークは最後まで健在だった。ガードの藤井祐眞選手がボールに飛び込み、大黒柱のニック・ファジーカス選手が得点を重ねた。北卓也ヘッドコーチは「選手は胸を張れる素晴らしいプレーをしてくれたが、悔やまれるのは皆さんの期待に応えられなかったこと」と激闘を振り返った。

 試合会場ではクラブが用意したTシャツ700枚が完売し、「川崎」コールが響き続けた。

 川崎市中原区から訪れた会社員水上章子さん(28)は「悔しすぎて何も言えないけど伝わるものがあった。川崎は大好きなチーム。ずっと応援していきたい」と瞳を潤ませた。「TOSHIBA」のユニホームで培ってきたブレイブサンダースの魂は必ず、DeNAへと受け継がれる。

川崎のブースターの惜しみない拍手を受けながら会場を後にする川崎の選手ら =船橋総合体育館

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