ニーズ高まる病児保育室 金沢区、磯子区に今春開所 横浜市金沢区・横浜市磯子区

川名院長(中央)とスタッフ

 疾病で保育園などに通えない子どもを預かる横浜市病児保育室が今春、金沢区と磯子区に開所した。共働き世帯増や一般に病児保育の認知が進み、利用者は増加傾向にある。

 市がクリニックなどに委託して行う病児保育事業は2004年に始まった。看護師・保育士が常駐する施設で生後6カ月〜小学6年を預かる。現在は市内22カ所。利用には事前登録・予約が必要。

 4月に金沢区初の病児保育室として開所したのが、かわなこどもクリニックの「かんがるーむ」。開所1カ月で約250人が登録した。自身の子育て経験から「病児保育室の開所が夢だった」と川名伸子院長。これまで子どもの預け先に悩む保護者には隣接区の保育室を伝えていたこともあった。働く女性のほか、長く仕事に励む祖父母世代が増えていることなどから、どうしても休めない時に安心して子どもを預けられる場所、相談できる人が少なく「世の中的にも必要なものになっている」と感じている。

 5月には磯子区洋光台にバニーこども診療所の病児保育室「ラパンノアール」が開所。地域に病児保育室が少なく「(子どもを)包括的にみていきたい」と感じ開所に至ったと箕原豊院長は話す。

区外・市外から利用も

 9年前に磯子区初の施設として開所した矢崎小児科の病児保育室「ファイン」(磯子)。川口葉子副院長は「(当時は)世の中に病児保育が認知されていなかった」という。子育てを理由に退職する女性医師が多かったため、職場復帰しづらい母親を支援しようと考えたのが開所のきっかけだ。

 登録が増えない時期もあったが、病児保育が題材のドラマ放送やメディアでの露出、対象となる子どもの年齢拡大などで次第に増加。現在は磯子区のほか、金沢区や中区、南区、藤沢市在住者からの利用もあり、約1800人が登録する。

 市こども青少年局によると、16年度の市内利用者は1万4330人(19施設)で、11年度の1万884人(15施設)から3千人以上増加。ニーズが高まる中、まだ施設がない区もある。担当者は「まずは各区に1カ所を目指している」と話す。

洋光台にある「ラパンノアール」

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