青野原 3年ぶりに人情村芝居 青年有志が伝統芸能継承 相模原市緑区

迫力のある殺陣も村芝居の大きな見どころの一つとなっている

 青野原・長野地区で100年近く続く伝統芸能として受け継がれている「村芝居」。この伝統の村芝居が上演される『春の祭』が5月26日(土)、午後6時から長野会館(青野原/長野諏訪神社隣)で開催される。3年に1度行われている催しで、地域の高齢者らから「久しぶりの上演、今からとても楽しみ」と期待を集めている。

 「村芝居」や「村歌舞伎」といった芸能は、明治時代から津久井各地区で、数少ない娯楽として親しまれていた。長い年月を経る中で、地域での上演は次第に影を潜めるようになっていたが、1990年頃から藤野地区の村歌舞伎をはじめとして、各地域で復活の動きが強まってきた。2014年からは津久井の各地域で行われていたものを一堂に集めた「村芝居フェスタ」を、毎年区内で開催している。

 そうした背景がある中、約1世紀の長きにわたり、絶え間なく公演を続けてきたのが、青野原地区の村芝居だ。

 同地区では、大正末期頃から地域の若者が自分たちで村芝居を練習し、その成果を村人に披露する日を『春の祭』と定め、以後、毎年行われてきた。その後、若者の減少などにより、27年前から3年に1回の公演としているものの、このように定期的な上演が続いているのは、県内では青野原だけで、全国でも愛媛県や愛知県など、数カ所のみだという。

人情劇「森の石松」を上演

 春の祭は、約180世帯で作る「長野戸主会」(井上晃会長)と、夏祭りやお宮参りなど地元祭事を支える若手有志で結成する「青友会」(尾崎一夫会長、会員39人)が共催で開催。5月26日(土)(少雨決行、雨天時は順延)、午後6時から開演し、第1部で歌謡・舞踊を、第2部で人情時代劇『森の石松』を上演する。脚本、演出は長野地区出身で、現在は東京福生市を中心に活動する「喜楽大衆劇団」の山崎博さんが担当し、演劇指導も担当する。青友会のメンバー9人が出演し、約1時間30分間の人情味溢れる劇が披露される。

 出演者は2月から週2回の練習を行い、開演まで1カ月余りに迫った4月中旬からは週3回に稽古を増やし、最後の調整を重ねている。稽古には、青友会OBや地元住民が差し入れや指導協力をするなど長野地域全体で村芝居を支えている。尾崎会長は「村芝居はこの地域に古くから伝わる伝統行事として、住民みんなが楽しみにしています。我々も稽古に熱が入り、当日は面白い芝居になると思うので、多くの方に見て頂きたい」と話した。

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