管鍼術の始祖しのぶ 江の島で「杉山祭」

 はり治療で用いる細い管と針を組み合わせた「管鍼(かんしん)術」を考案した杉山和一(わいち)(1610~94年)をしのぶ「杉山祭」が13日、藤沢市江の島で行われた。鍼灸(しんきゅう)マッサージ師や盲学校関係者ら約70人が参加。和一の墓前で、今に伝わる技の切磋琢磨(せっさたくま)を誓った。

 県鍼灸マッサージ師会(伊勢山竹雄会長)の主催。「健康寿命が注目される時代に、鍼灸マッサージの良さと和一の功績を広く発信していきたい」と、命日(旧暦5月18日)近くの第2日曜に墓前祭と江島神社での感謝祭を合わせて実施している。

 和一は幼少時に病のため失明。はり治療で身を立てようとするが習得が進まず、弁財天祈願に訪れた江の島で断食修行中に転んだ際、丸まった枯れ葉(竹筒との説も)に入った松葉に刺さったことからヒントを得て、管鍼術を編み出したと伝わる。

 将軍に仕え、盲人の最高官位である検校(けんぎょう)となった後も江の島参拝を続けており、亡くなった翌年、江戸の墓所とは別に江の島にも墓碑が設けられた。墓前祭では、宮司による祝詞奏上の後、参列者が玉串をささげた。感謝祭後に老舗旅館で開かれた懇親会では、宝井琴調さんが和一のエピソードをまとめた講談を披露した。

杉山和一の墓前に玉串をささげる参列者=藤沢市江の島

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