南島原市 原城跡公有化を促進 長期管理へ「所有者の会」

 世界文化遺産登録を目指す「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つで国指定史跡の原城跡(南島原市南有馬町)。6~7月に見込まれる正式登録に向け、住民ら地権者141人でつくる「原城跡所有者の会」の動きが活発化している。同会事務局を担う市は、史跡の長期的な調査や保存整備、活用に向け「より理解を広め、買い上げを促進したい」とし、公有化に力を入れている。
 買い上げ事業は旧南高南有馬町時代の1979年度から進められ、現在は市や国、県が史跡内の土地の約6割を所有。県が国際記念物遺跡会議(イコモス)の助言を受けて構成資産を見直し、登録へ再挑戦するなど機運が高まる中で昨年7月、原城跡を将来へ確実に引き継ごうと市が同会を発足させた。市は説明会開催や個別交渉を進め、昨年度は約4800平方メートルを買い上げ。本年度は約6500平方メートルの買い上げに向け協議を進めている。
 同市南有馬町の建設資材販売会社社長、宮崎友明さん(50)は約千平方メートルを所有し「頻繁な草刈りなど管理が大変。息子に相続するのも気の毒で、市が買い取ってくれればありがたい」と前向きに交渉中。「世界遺産になることは住民として誇らしい。長く観光客に訪れてもらえる場所になるよう、市に全面的に協力したい」と話す。
 市世界遺産推進室は「自治体として半永久的に管理できるよう、協力をお願いしたい」としている。売却や寄付などの連絡は同室(電0957・73・6706)。

イコモスの登録勧告後に多くの観光客が訪れた原城跡=5月4日、南島原市南有馬町

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