「石炭火力発電所」設置に公聴会 事業者は住民意見への見解書提出 横須賀市

現地では既存施設の撤去が進む

 東京電力フュエル&パワーと中部電力による合弁会社「JERA」が久里浜で進めている(仮称)横須賀火力発電所新1・2号機建設計画について先月19日、「準備書等意見・見解書」が同社から神奈川県に提出された。これに関連して6月2日(土)には、久里浜行政センターで公聴会が実施される。

 同所は1960年に石炭火力発電所として運転を開始し、72年以降は燃料を重油・石油に切り替えて発電。老朽化や燃料情勢の変化などにより、2014年から全機長期停止となっていた。同計画は既設の全8機を撤去し、新たに熱効率の高い最新鋭の超々臨界圧発電設備を採用した出力約65万kWの施設を2基建設するもの。燃料の削減や石油エネルギー依存へのリスク回避などを計画の目的に上げており、「既存設備のインフラを活用でき、大規模な工事を要しない」としている。新1号機が23年、2号機が24年の運転開始を目指しているという。

環境負荷に不安

 計画について、同社は1月と2月に住民に対し、計画の概要と「環境影響評価準備書」の説明会を実施。この内容に対する住民らからの意見が109通(386件)寄せられた。このほど提出された見解書は、これらの意見への回答。「石炭火力は時代に逆行しており、環境負荷が高い」として反対する声には「電力の安定供給と需要に柔軟に対応することができる」などとしている。大気や水汚染に関しては「最新鋭の装置を配置し、環境保全措置を講じる」と答えている。

市民団体は「説明不十分」

 この見解書について、「横須賀石炭火力発電所建設を考える会」の鈴木陸郎さんは「問題を多く抱えている中で説明が不十分」と話す。東京湾内ではほかにも2カ所で石炭火力発電所の計画があり、同会では大気汚染に関する勉強会を3月に実施。住民への周知や環境負荷などに対して、市や県に申し入れを行うなど、活動を広げている。

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 準備書等意見・見解書は5月21日(月)まで浦賀・久里浜・北下浦行政センターや県政総合センターなどで縦覧できるほか、神奈川県ホームページhttp://www.pref.kanagawa.jp/docs/ap4/cnt/f247/p491504.html(環境影響評価関係図書一覧)で開示。公聴会は傍聴可能で入場は先着順、午前10時から。

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