フジクラ、新規事業の創出加速 FPC、光ファイバなど車載・医療分野に注力

 フジクラは自動車や医療などの分野で新規事業創出を加速する。車載分野では既存のハーネスに加えFPCや光ケーブルなどの製品群に期待。事業の垣根を越え、横断的に製品・技術を提案するため自動車電装R&Dセンターを新設した。医療分野では内視鏡向けの半導体センサや画像伝送ファイバに注力。加工用ファイバレーザは18年度から量産する。都内で開かれた決算会見で伊藤雅彦社長が説明した。

 伊藤社長は自動車市場の現状を100年に一度の技術的な変革期と認識。「電動車など新エネルギー車向けに製品や技術の提案を強化したい」と強調した。新エネ車に全社の幅広い技術を提案するため、自動車電装R&Dセンターをこの4月に開設。その傘下に車載通信システムと車載電源システムの2開発部を置いた。併せて欧州顧客の潜在ニーズを捉え迅速な提案ができるよう、技術開発子会社フジクラ・テクノロジー・ヨーロッパをドイツに設けている。今後は新エネ車向けに高圧ハーネスや充電関連部品などの拡販も目指す。

 医療分野は体内の状態を撮影する撮像と小型化の技術を生かす。半導体センサやファイバに加え部品を製品段階まで組み上げた極細径内視鏡もソリューションとして提案。加工用のファイバレーザでは高出力化による切断の高速化を推進。今後は「集光性が高く微細加工や難加工材料に適したシングルモード・ファイバレーザの開発も進める」(伊藤社長)とした。また7月をめどに本社近隣の東京R&Dセンターにオープンイノベーション拠点として「イノベーションハブ」を新設。外部の知見を生かし研究開発をさらに加速する。

© 株式会社鉄鋼新聞社