横浜市:商店街空き店舗増で対策 各種助成も利用少なく 横浜市南区

空き店舗対策を進める横浜橋通商店街

 横浜市は増加する商店街の空き店舗対策として、創業者向けの助成や物件所有者への補助金交付など、さまざまな対策を打ち出している。しかし、補助を活用した出店は少なく、「家賃を下げない限り、出店者は増えない」という声もある。

 市経済局が2015年度に行った調査によると、市内商店街の空き店舗総数は774。経営者の高齢化や経営状況の悪化が主な理由となり、前回調査(12年度)の611に比べ、大きく増えている。

 空き店舗のうち、3年以上前から空いたままとなっているものは約4割で、12年度より1割増加している。これについて同局は12年度調査時の空き店舗がそのまま続いていたと分析。「最新の調査以降、さらに空き店舗が増えている恐れがある」と担当者は話す。

 こうした状況を打開しようと市は「創業者」と「物件所有者」に対する助成・補助を行っている。

横浜橋などで開業

 創業者向けの助成制度は、商店街が誘致を希望する空き店舗で開業を予定する人などに対し、「週4日以上開設」「商店街加入」といった条件付きで支援を行うもの。前払家賃や敷金・礼金など、店舗賃貸の初期費用を補助する。昨年度はこの事業により、横浜橋通商店街で2件、弘明寺商店街で1件が開業。市内全体では8件だった。

 一方で市は昨年度から、物件所有者に対する助成を開始した。1年以上借り手のいない店舗の所有者に対し「改修後1年以内の入居」などを条件に最大で200万円を助成する。

 市が想定する改修内容は、前の借主が残した設備等(残置物)の撤去費。実際にこの制度を利用したある男性は、スナックだった店舗の残置物を撤去した直後に借り手が決まった。「残置物があると貸しづらく、何年も空いた状態だったので助かった」と話す。

事業周知に課題

 物件所有者向けの助成は昨年8月から募集開始したが補助実績は2件。商店街連合会に対するPRや、不動産協会などの団体を通した周知を図ってきたものの、相談件数を含めて10件程度だった。同局は「全国的にも珍しい取り組みだが、周知が不十分だった。商店街活性化は、市民の生活利便性の向上に直結するので、今後も事業周知やさまざまな形の支援をしていきたい」と話す。

 横浜を代表する弘明寺、横浜橋の両商店街も近年は空き店舗が目立つようになってきた。ある商店街関係者は「商店街の中は、近隣に比べて強気の家賃設定が多く、商店会費やアーケード維持費などもかかり、外から見るイメージほど商売はしやすくない」と話し、現在の相場に応じた家賃設定が必要だとの認識を示した。

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