“安さの裏側”学ぶ  ファストファッション ミャンマーの工場訪問  東洋英和女学院大生「同世代に伝えたい」

東洋英和女学院大学(横浜市緑区)の学生が、国際労働機関(ILO)の100周年を記念した助成事業の一環で、ファストファッションと労働について学習を進めている。3月には裁縫工場があるミャンマーを訪問。学生たちは「同じ若い世代に“安さの裏側”を知ってもらいたい」と力説している。

 取り組んでいるのは、船越日奈子さん(20)をリーダーにした国際社会学部3年の有志8人。昨年度、吉川健治教授のゼミを受講した約20人の中から集まり、放課後に課題図書を読み込むなどしてきた。

 ファストファッションは低価格で流行の服を購入できると人気を集める一方、縫製などを担う発展途上国の劣悪な労働条件が問題となっている。日本では近年、賃金が東南アジアで最低水準のミャンマーへの工場進出が目立つといい、日本ILO協議会から支給された約100万円の助成金で現地研修することを決めた。

 「知らないことの連続だった」という。裁縫工場で労働環境改善を訴えたところ解雇され、現在は支援団体の施設で働きながら子育てしているという女性たち。「本当は自分の国で稼ぎたいけれど、給料が良くないから国外で働くことが希望」と、日本語学校で勉強する若者たち。

 「あまりにもショックで『質問ありますか』と尋ねられても何も言葉が出なかった」と、メンバーの水島菜々子さん(20)は振り返る。ファストファッションを扱う若者向けアパレル店でアルバイトをしているが、「何でこんなに安く洋服ができるのかって、全然考えてこなかったことに気付いた」と猛省したという。

 今後は現地研修の成果を報告書にまとめるほか、ツイッターやインスタグラムを使って若者向けに「服を安く買える理由」を発信していくことも考えている。まずは身近なところから。山下莉未さん(20)は「学生でも広めることならたくさんできるはず」と等身大の抱負を語った。

現地研修の様子を振り返る船越さん(中央)、水島さん(左)、山下さん=東洋英和女学院大学(左)ミャンマーでの現地研修では、裁縫工場を解雇された女性たち(左奥)から話を聞いた(船越さん提供)

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