東海地区特殊鋼メーカー、生産投資大幅増に 自動車堅調で能力増強

 東海地区に本拠地を置く特殊鋼メーカーの生産投資増が目立っている。大同特殊鋼、愛知製鋼ともに減価償却額を上回る水準。リーマンショックによる経済の大きな落ち込みで、老朽更新などが遅れたしわ寄せがここに来て表れているとも言える。自動車生産の今後の大きな変化は予想されるが、足元は増産対応などで能力増強が課題。生産性向上、自動化の推進なども投資増につながっている。

 大同特殊鋼は今年度、計361億円を投資する計画。特殊鋼の増力増強のための知多工場での連続鋳造設備の合理化投資(投資額約40億円)や、特殊溶解設備(知多工場、渋川工場)など。

 戦略投資の推進などで前年度も減価償却費(207億4千万円)を大きく上回る356億500万円の設備投資を実施。今期もその水準を上回る設備投資を予定しているもの。

 愛知製鋼も今期、230億円の設備投資を実施する。大半が生産設備の増強や老朽更新で、減価償却費(123億円)を上回る。前期も170億円の投資を実施しており、これも減価償却費を上回っている。

 地区では自動車生産の大きな変化も予想され、長期的には需要減が見込まれるが、足元は高い生産水準にあり、投資を継続する必要がある。

 一方で、リーマンショックで業績が大きく落ち込んだ影響で、老朽更新すべき時期に投資が行えなかった、という実態もある。リストラを進めながら受注増に対応してきたため、結果的にここへきて投資を増やしている格好。

 中期計画などでも継続的に活発な投資を行っていく考えで、当面、高水準の設備投資が続きそうだ。

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