「利は元にあり」という格言を、どう理解したらいいだろう。
「上手に仕入れれば利益も出る」などと考えている人が多いようだが、もっと踏み込んで考えてみたら…。
格言の発祥は、近江商人。近江商人と言えば「三方よし」が商売の基本スタンス。
お客がよく、仕入れ先もよく、私もよい。その基本に立って「利は元にあり」を考えたとき、単に「仕入れを安く買い叩け」という利己主義的な発想は通りそうにない。
松下幸之助さんも、石田退三さんも言っている。「利益を上げられるのは、支えてくれる仕入れ先・下請け先があるから。大事にしなければ」。もちろん、時代は違う。しかし、基本はそれほど変わらないはず。取引先のことなど二の次で、とにかく仕入れが安くなれば満足、といえるか。
また、メーカー・供給者は流通がどれほど苦労していても、製造原価の上昇分を転嫁すればそれでOKなのか。しかも、流通には厳しい一方ユーザーには違う態度をとるとしたら。
自動車も建設も顧客は高水準の利益と発表しているところが目につく。反面、それらを下支えする人たちの業績が浮沈をさまよっているとしたら、それをどう考えるべきか。
そもそも「上手に仕入れる」とはどういうことだろうか。
顧客と交渉したが押し切られ、安値受注したものをメーカーに相談し、対応してもらうことをいうのだろうか。
また、その相談に対してメーカーが譲歩するとしたら、それをどう考えるべきか。営業力・稼ぐ力の不足を露呈するだけのものか。もちろん、理想と現実の隔たりは大きい。カッコつけてばかりもいられないし、体質・慣習はそう簡単には変えられない。
製販一体とはどういうことなのだろう。競い合うとは…。