ユウコウ果汁、果皮を焼きドーナツに 「外海慕情」ほのかな甘みと酸味 福岡の有名店とタッグ

 長崎市外海地区に自生する伝統のかんきつ類ユウコウを広く知ってもらおうと、卸などを手掛ける同市の濵崎孝明さん(32)が、生地に果汁や果皮を練り込んだ焼きドーナツ「外海慕情」を福岡市の有名店と一緒に開発した。
 ドーナツには皮と果汁が練り込まれ、ほのかな甘みと酸味が特徴。2月から販売する福岡では当初「外海」の読み方を尋ねられたりしたが、現在は、指名買いも増えたという。
 2日、県内で唯一販売した西彼長与町嬉里郷の食料品店「ファンタスマーケット」ではすぐに売り切れる人気。本シーズン最後となる次回販売は30日を予定している。230円。
 濵崎さんは「外海のユウコウを誰も知らないのが悔しい」と卸や加工などをする「パザパプロダクト」を2016年設立。耕作放棄地での生産も始めた。
 開発のタッグを組んだのは、信頼の置ける農産物を飲食業者へとつなぐ事業に取り組む佐世保市出身の江口雅志さん(38)と、福岡市の人気ドーナツ店「ケンジーズドーナツファクトリー」の上杉健治社長(49)。
 17年10月ごろ、ドーナツに使う新食材を探していた上杉社長と濵崎さんを、共通の知人が引き合わせたことで開発が決定。江口さんが生産者との間を取り持った。3人は「タイミングが良かったのもあるが、すぐに意気投合。スピーディーだったね」と笑い合う。
 ファンタスマーケットの担当、村田郁子さんは「私たちは思いのこもった物、質の良い物を提供したいと思っている。定番商品に育てたい」と話している。
 ケンジーズドーナツファクトリーは今回の経験を生かし、他地域の特色ある食材を使った商品も手掛ける方針。外海慕情も次年度以降、販路を拡大していく予定だ。

ドーナツを片手に取り組みについて語る(左から)江口さん、上杉さん、浜崎さん=長崎市東出津町、道の駅夕陽が丘そとめ
今回ファンタスマーケットで取り扱われている「外海慕情」

© 株式会社長崎新聞社