「かくれ」の信仰 脈々と お水取り、オラショ、お授け… 生月町博物館で企画展

 平戸市の生月島北部に位置する壱部地区で受け継がれてきた、かくれキリシタンの信仰行事を資料や写真で紹介する企画展が市生月町博物館・島の館で開かれている。信者から寄贈されたお掛け絵(聖画)を含む43点を展示している。27日まで。
 島にキリスト教が伝わったのは約450年前。かくれキリシタンについて調査している同館が、特に信仰が継承されてきた地区を紹介する企画展は元触、山田に続き3回目となる。
 同館の中園成生学芸員(55)によると、壱部では、漁船を新しくした時などに「長崎と天草地方の潜伏キリシタン」の構成資産「平戸の聖地と集落」に入る無人島「中江ノ島」に渡り、岩の裂け目から染み出す聖水を採取する「お水取り」の儀式を今も続ける。30分ほどかかるオラショ(祈り)の暗唱も壱部だけという。
 信仰行事を紹介する写真は、体を清めた後の子どもに聖水をかけ、洗礼をする「お授け」や、葬式の際に「おじ役」と呼ばれる役職の信者が、魂をパライゾ(天国)に送るために文句を唱える儀式「戻し」の再現などが並ぶ。
 江戸初期、信者によって描かれたとされる聖母子をモチーフにした美しいお掛け絵や、住民が運勢を占う「お札」と呼ばれる祭具なども置かれる。
 中園学芸員は「かくれキリシタン信仰の本当の姿を見てもらえれば」と話す。開館時間は午前9時~午後5時。企画展の入場は無料。

壱部地区の信仰形態を伝える写真に見入る来場者=平戸市、島の
江戸初期に描かれたとされる聖母子をモチーフにしたお掛け絵

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