新日鉄住金、日新製鋼を完全子会社化 ステンレス事業、NSSCに集約

社名も変更、新日鉄住金→日本製鉄、日新製鋼→日鉄日新製鋼

 新日鉄住金は16日、来年1月1日付で日新製鋼を完全子会社にするとともに、新日鉄住金ステンレス(NSSC)、日新製鋼がそれぞれ手掛けるステンレス鋼板事業を同年4月1日付でNSSCに集約すると発表した。これと合わせ、新日鉄住金、日新製鋼は同日付で社名をそれぞれ、「日本製鉄(にっぽんせいてつ)」「日鉄日新製鋼」に変更する。

 新日鉄住金は2017年3月に日新製鋼への出資比率を約51%に引き上げ、子会社化した。これを受け、両社間で営業連携や生産体制の見直しなどを進めてきた。連携効果をさらに深化させるには、意思決定のスピードが速まる完全子会社化が不可欠と判断した。

 新日鉄住金の進藤孝生社長、日新製鋼の柳川欽也社長、NSSCの伊藤仁社長らが同日、そろって記者会見した。進藤社長は、鉄鋼業をめぐる需要環境の変化などを指摘した上で、今回の決定について「将来の構造変化に対応し、競争力を強化するには、よりスピード感のある経営が必要」などと説明した。

 完全子会社化、ステンレス事業統合による統合効果については、昨年の子会社化による効果(年200億円)に加え、「追加的に100億円を見込む」(進藤社長)。

 完全子会社化は株式交換方式で実施。日新製鋼1株に対し、新日鉄住金0・71株(自己株式)を割り当てる。日新製鋼は今年12月26日で上場廃止となる予定。

 両社の連携強化の第1弾として来年4月に実施するステンレス事業の統合は、NSSCを存続会社とし、日新製鋼のステンレス鋼板事業と、新日鉄住金の直江津製造所(新潟県直江津市)で手掛ける特殊ステンレス鋼板事業を統合する。統合後の粗鋼生産規模は年180万トンとなり、世界9位に浮上する。

 新日鉄住金は日新製鋼の完全子会社化を機に、普通鋼事業でも連携強化策をさらに深化させる。生産体制の最適化を引き続き検討するほか、両社のグループ会社の再編・統合を進める。

 進藤社長は会見で、表面処理鋼板を例に挙げ、「両社のラインを効率活用することで、より競争力のある生産体制が組める」と強調した。

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