神奈川県内企業、増収増益に 景気回復、円安が後押し 3月期集計

 神奈川県内上場企業の2018年3月期の業績は、前期と比べて増収増益となったことが18日、神奈川新聞社の集計で分かった。世界経済の拡大を背景に、企業収益や雇用環境が改善。為替相場が円安基調で推移したことも追い風となった。今期(19年3月期)の業績予想は、引き続き緩やかな景気回復が続くとみて、増収増益を見込んでいる。

 集計対象は3月が決算期の県内上場企業で、18日までに決算発表した116社。今期の予想については、非公表の2社を除く114社。

 18年3月期は、前期と比べ売上高が4%増、営業利益が10%増、純利益が55%増だった。輸出や海外展開する製造業を中心に業績が好調で、ばね大手のニッパツ(横浜市金沢区)やプレス部品のユニプレス(同市港北区)のほか、化粧品や栄養補助食品が好調のファンケル(同市中区)などの売上高が過去最高。金属加工機械大手のアマダホールディングス(伊勢原市)などは純利益が最高となった。

 また前期、海外事業の損失が膨らみ最終赤字となったJVCケンウッド(横浜市神奈川区)やプラント大手の日揮(同市西区)、千代田化工建設(同)が黒字に転換したことも増益要因となった。

 今期は売上高2%増、営業利益9%増、純利益4%増を見込む。今後、企業収益の改善が、利益のうち従業員の取り分を示す労働分配率の向上に結び付くかどうかが、自律的な景気回復の鍵を握る。一方、米中貿易摩擦、米国のイラン核合意からの離脱など中東情勢の混迷による原油価格上昇の可能性など、日本経済にとって世界経済の変調が不安材料になりつつある。

 今回の集計対象には、1社で全社分以上の売り上げ規模のある日産自動車は含んでいない。

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