【MLB】大谷の177キロ二塁打、米専門家は中堅手に“同情”「1歩目で悟ったのでは?」

痛烈な二塁打を放ったエンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

センター左への痛烈なツーベース、専門家は「修正力」も改めて称賛

 18日(日本時間19日)の本拠地レイズ戦に「5番・DH」でスタメン出場したエンゼルスの大谷翔平投手。第1打席で痛烈な二塁打を放ち、3打数1安打1四球だった。エンゼルスOBは大谷の適応力を称える一方で、フェンス際に陣取りながらもキャッチできなかったレイズの中堅手スミスについて、「1歩目で間に合わないと悟ったのでは」と指摘。大谷のあまりの打球スピードに、相手中堅手を“同情”している。

 大谷のバットから痛烈な打球が放たれたのは、0-1で迎えた2回の第1打席だった。フルカウントから先発左腕スネルの7球目の97マイル(約156キロ)直球を捉え、センター左に弾丸ライナーを放った。エンゼルス打線は低調で、3-8で敗れて4連敗を喫したが、この一打は強烈な印象を残した。

 地元ロサンゼルスで試合を中継をしているテレビ局「FOXスポーツ・ウエスト」の解説者で、現役時代にメジャー通算132勝を挙げたマーク・グビザ氏は、この二塁打について称賛の言葉を並べた。

「彼に関しては打席での修正力について話をしてきましたが、相当強烈な当たりを逆方向に放ちました。カウント3-2から(今季)5本目の二塁打です。97マイルのファストボールでしたが、直前の98マイルのファストボールとほとんど同じ場所でした」

 左腕スネルは、ボールとなった6球目の外角高めの98マイル(約158キロ)とほぼ変わらないコースに156キロの速球を投げ込んだ。そして、直前にほぼ同じコースの球を見ていた大谷は、これを見逃すことはしなかった。中堅スミスは、センター方向に強烈な打球を跳ね返し続ける大谷への対策のためか、フェンス寄りの深い位置で守っていた。しかし、間に合わず。打球は頭上を越えて二塁打となった。

大谷本人は「野球のレベルも高いなと毎日毎日感じています」

 実況は「この打球がどれだけ強烈だったことか。スミスは深めに守っていました。キャッチするために猛ダッシュしましたが、追いつけませんでした」と紹介。すると、グビザ氏は「(スミスは)1歩目で悟ったのではないでしょうか。このボールには追いつけないだろうと」と“同情”していた。

 憮然とした表情のスミスを大写しにしながら、実況が圧巻の二塁打の初速を「時速110マイル(約177キロ)でした」と紹介すると、グビザー氏は「ワオ!」と驚きを隠しきれない様子。大谷は、試合後の会見で「正直、左ピッチャーの98マイルは今まで体験したことがなかったので、どうやって打ったらいいんだろうなと。ビデオで(見て)もそうでしたけど、打席に入って速いなと感じましたし、そこに対して数球で対応していけたのは、これは良かったんじゃないかなと思ってます」と自画自賛したが、専門家も驚く一打だった。

 軽く振ったようなスイングでも、考えられないような飛距離、速度の打球を飛ばす大谷。試合後には「やっぱり野球のレベルも高いなと毎日毎日感じていますし、その中で自分をどう変えながらいい方向につなげていくのかっていうのは、本当に毎日毎日それしか考えてないので。でも、すごく楽しい日々かなと思ってます」とも話した。もっとも、「レベルが高い」と感じている世界最高峰の舞台で、周囲を驚かせる能力を見せ続けているのは、大谷自身のようだ。

(細野能功 / Yoshinori Hosono)

© 株式会社Creative2