候補者男女均等、神奈川県内は? 女性過半数は葉山のみ

 女性の政界進出を促す「政治分野の男女共同参画推進法」(候補者男女均等法)の成立を受け、神奈川新聞社が県と県内市町村の計34議会の男女構成(16日現在)を調査したところ、女性が半数に達しているのは葉山町のみであることが明らかになった。女性ゼロの清川村をはじめ、全体の約8割の27議会で、女性の割合が3割に満たないのが現状。全国的には“先進県”ともいえる神奈川だが、男女均等を求める法の目標には程遠い実態が浮き彫りとなった。

 女性参政権が認められて70年余りが経過したが、男性が多数を占める議会が常態化している。内閣府によると、2017年12月現在、女性議員の割合は衆院が10・1%、参院は20・7%。16年12月現在、都道府県議会は9・9%、市区議会14・6%、町村議会9・8%だった。都道府県別にみると、神奈川は、都道府県議会で4位、市区議会は3位、町村議会では1位と軒並み上位につけた。

 ただ、今回の本社集計で、女性議員が過半数を占めたのは葉山町(53・8%)のみ。続く大磯町(46・2%)と共に男女数の差は1人で、法に掲げられた「男女均等」がほぼ成り立っている。

 一方、女性の割合が2割に満たないのは18議会(52・9%)、1割に満たないのは3議会(8・9%)。清川村は過去にも女性議員が存在していない。

 大所帯の県・政令市議会では、相模原市が20・0%で最も多く、川崎市(17・2%)、横浜市(15・1%)、県(14・6%)の順だった。

 同法は議員立法で16日の参院本会議で全会一致で可決、成立。国政・地方選挙に臨む政党と政治団体に候補者数を「できる限り男女均等」にするよう促す。公布日に施行され、来年の統一地方選や参院選にも適用される。罰則はなく、努力義務のため、各党の実行力が課題とされている。

来春の統一地方選

擁立期待も実効性不透明

 女性国会議員らの悲願が結実し、ようやく成立した政治分野の男女共同参画推進法。県内でも来春の統一地方選に向けて女性の政界進出を後押しする動きが見えるが、実効性は不透明だ。

 「女性の経験や考え方をくんだ社会の仕組みに変えていくために、女性議員を増やしていくのは当然」

 法成立を歓迎したのは、当選7回を数える立憲民主党県連の阿部知子代表(衆院12区)。昨秋の衆院選で県内の党公認候補が男女同数だったことを踏まえ、「統一選の候補も、できるだけ男女を均等にしたい」と意気込む。ただ、野党間の候補者調整も模索しており、達成には他党の動向にも左右されそうだ。

 県議会で議員定数の半数近くを占める自民党の小此木八郎県連会長(同3区)は「法律の成立は出発点。幅広い政治参画の実現に向け、人材の育成など環境の整備を進めたい」とコメント。党内では河野太郎外相(同15区)が「さまざまな分野で男女が同じように活躍できる場をつくる。そのために最初は少し後押しをする必要はある」と理解を示すが、実現のハードルは高い。

 同党県連が今月発表した県議選の1次公認候補46人のうち、女性はわずか3人。現職の多くが男性で、「空白区」に女性を擁立するなどしても男女均等となる道筋は描けない。

 県議会の交渉会派で唯一女性が率いる「かながわ国民民主党・無所属クラブ」の曽我部久美子団長は、法成立に賛意を示しつつも、若い女性候補を発掘する研修会を開いても思うように集まらない現状を踏まえて指摘する。「家庭のことが一段落した女性でないとチャレンジしにくい。子育て中でも議員活動ができる環境を充実させないといけない」

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